本研究は、明治維新によって壊滅的危機をむかえた能楽を支え、明治・大正期かけて能楽の存続と復活をめざして設立された庇護者の活動について、その理論と実態との相互関係を分析することをめざし、そのための基礎データとして明治・大正期の能楽上演記録のデータベースの構築を中心的な活動に据えた。雑誌『能楽』や新聞記事を補足資料とし、坪内逍遙、池内信嘉、高木半の能楽分析論、能楽改良に関する諸説を詳細にする研究論文2本、研究発表2本を発表してきた。そこでは、明治・大正期の能楽を支えたエネルギーとしての素人や文化人の支援や意見が、どのように能楽の活動に影響を与えたか具体的に明らか提示できたと考えている。
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