平成23年度の研究の結果を踏まえ、平成24年度はメイエルホリドおよびその時代の演劇の越境の問題の研究を行った。平成24年8月から9月にかけてロシアおよびベラルーシに出張し、ロシア文学翻訳者セミナーに参加、Как сохранить языковой гротеск в переводе? Японский перевод новелл С.Д.Кржижановского. と題した発表を行った。また、パフォーマンス言語の翻訳に関するワークショップに参加し、演劇の言語の問題を考察した。ベラルーシではロシア・アヴァンギャルドのアーカイヴ資料や現地での研究状況に関する調査を行った。さらにモスクワ国立芸術図書館、サンクト・ペテルブルグ演劇図書館、公立図書館などで東洋伝統演劇のロシア公演に関する調査、メイエルホリド劇場で演出助手をやっていた日本人演出家佐野碩に関する調査を行った。また、1920年代におけるメイエルホリド劇場の視覚芸術との関係に関する調査を行った。調査の成果として、早稲田大学演劇博物館で2013年3月から開催された「佐野碩と世界演劇」展の展示構成に協力した。さらに、日中露の文化が融合していた土地満洲における演劇の状況について中国演劇研究者鈴木直子氏と共同で「満洲における中国・日本・ロシアの演劇活動」を「アートタイムズ」誌に執筆、また鈴木直子氏、日本映画研究者の上田学氏と共同でロシア語論文 Театральное и кинематографическое искусство в Маньчжоу-го в 1930 - 1940-х годах. を執筆、論集 Национальный театр в контексте многонациональной культуры. に掲載された。
|