1930年代半ばごろから第二次世界大戦が終戦する1945年にかけ、中国大陸の上海、武漢、重慶そして当時イギリスの植民地だった香港など広範にわたる地域において、「国防映画」つまり抗日をテーマとする映画の製作が広く行われていた。本研究は、上記四ヶ所にわたる当時の映画雑誌や新聞記事などの一次資料に基づいて言説分析を行い、従来の左右対立の文脈では捉えきれなかった「国防映画」の製作の実態を究明した。さらに、現存するフィルムに対する具体的な読解を通じて、日中戦争期の中国映画における日本人表象の構築について詳細に考察・分析した。
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