研究課題/領域番号 |
23720097
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研究機関 | 神戸芸術工科大学 |
研究代表者 |
高 台泳 神戸芸術工科大学, デザイン学部, 助教 (70466671)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 芸術諸学 / デザイン学 / 地図記号 / 観光政策 / 地域活性化 |
研究概要 |
本研究で開発を目指している新たな地図記号は、主に国内の地方自治体が企画・制作・発行している観光ガイドマップでの使用を想定したものである。そこで、従来の観光ガイドマップから見られる諸地図記号を把握し、その問題点の分析をするため、日本国内で入手できる資料の「収集」と「整理」を平成23年度の目標としていた。 そこで、平成23年度はとりわけ日本国内の普通地方公共団体のうち、市町村を包括する広域の地方公共団体である「47都道府県」で制作・発行された観光ガイドマップを対象に、資料の収集に努めた。主な収集場所は各自治体の観光情報センター及び東京の都道府県会館、大阪の地方自治体事務所である。 さらに、国内で入手が可能な一部の諸外国の観光ガイドマップも現地及び関連機関に出向いて収集した。主な出張場所は岐阜県立図書館及び国会図書館、そしてドイツ(ミュンヘン・ベルリン・ケルン・マインツ)・フランス(パリ)・韓国である。特に平成24年3月の海外出張先にドイツを選んだ理由は、ドイツの地図は明治時代に日本の地形図作成にも多くの影響を与えており、ドイツのグラフィックデザインや観光事業は世界的にも高い水準であると考えられたためである。 なお、資料収集の傍ら、本研究が補助対象になる前から収集していた国内の一部地方自治体の観光ガイドマップにおける地図記号を分析した内容を持って、平成23年度6月日本デザイン学会で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の平成23年度の計画は、「国内で収集可能な資料を中心に資料収集と整理を行う」ことと、「情報の収集・交換の目的で、2~3回の国内出張を行う」ことであった。そのとおり、平成23年度には国内の47都道府県全ての観光ガイドマップを収集することができた。資料はいずれも収集した時点で最も新しい2010年以降に制作・発行されたものである。 さらに、平成24年3月の出張でも、フランスとドイツ、そして韓国の研究資料を収集した。この状況から、資料収集は予定以上に進んでいると言える。 一方、研究資料が多種多様であるだけに、分類と整理に時間がかかっている。以上のことからおおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度には、まず前年度に引き続き資料の収集に努める。前年度には国内で入手できる資料収集を行ったのに対し、平成24年度にはより積極的に海外、または国内の各地に出向き、ユーザーの立場での当地の観光ガイドマップに対する検証・分析を兼ねた資料収集を行いたい。出張予定地は中欧及びアメリカ、またはアジアである。東京所在の諸外国政府観光局からも、当国の資料を集める予定である。 次に、収集された多種多様の資料をデジタル画像化し、分類・分析を行う。具体的にはデジタル画像化にスキャナーを用い、記号をjpgファイルに変換する。それから「形」、「意味」など、任意のカテゴリを設けて記号を分類・分析する。そして現在の国内の諸自治体観光ガイドマップにおける地図記号と比較する。 以上の結果を持って、国籍や年齢、学習有無などを問わず、あらゆるユーザーに対応できるよう、伝達性と識別性、造形性を兼ね備えた新たな地図記号を開発するためのデータベースを整えたい。 その他、研究結果を報告書にまとめ、学会(日本デザイン学会・基礎造形学会)の研究発表大会で発表するとともに、論文にまとめる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費の使用については、次のように考えている。 第一は出張経費としての使用である。平成23年度には国内を中心に収集を行ったため、当初の予定より出張費がかからず、研究費の一部が繰り越しになった。平成24年度にはさらに活発な収集活動を通じて、資料を求めたい。 第二は研究関連文献資料及び、地図記号のデジタル画像化に必要な備品の購入経費としての使用である。技術の進歩により、年々新しいバージョンのソフトウェアや機材が発売されていることから、平成23年度には購入に見送ったものがある。これも研究費の一部が繰り越しになった理由の一つでもある。研究をよりスムーズに行うためには、最新のスペックの物品は欠かせないため、その購入に研究費の一部を使用することを予定している。 第三は、情報の収集・交換のために、3~4回程学会や博覧会の参加を予定しており、その一連の経費としての使用である。 第四は、収集した資料のデジタル画像化と整理を補助する人に対する謝金である。収集資料が相当の数になると予想されることから、より迅速かつ円滑な研究のためには必要な支出と考えられる。
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