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2014 年度 実績報告書

文学的言説における日中戦争前期〈中国〉表象の多角的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23720103
研究機関信州大学

研究代表者

松本 和也  信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (50467198)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2015-03-31
キーワード報告文学(ルポルタージュ) / 小田嶽夫 / 尾崎士郎 / 岸田國士 / 田中英光 / 太宰治 / 川端康成 / 林語堂
研究実績の概要

本研究では、日中戦争前期(1937-41年)に発表された文学的言説上の中国表象を、複数の作品やトピックを軸として多角的に検討した。そのことによって、当時の日本人の中国認識・表象、中国表象の特徴やその受容の様相を明らかにした。それらを総合し、5年分の文学的言説を包括的に比較・検討し、当時中国を表象する際にどのような規則が作動していたかも明らかにし、近代日中関係史を再考する具体的な契機ともした。
本研究課題では、研究計画に即して、日中戦争前期(1937-1940前後)を調査検討時期として、設定した資料体(コーパス)における〈中国〉表象を含む文学的言説の調査・研究に取り組んだ。具体的には、日中戦争に関する多ジャンルの文学的言説に焦点を絞り、文学者が中国に行った際の報告文学(ルポルタージュ)とその受容、文学テクストに書きこまれた(直接的・間接的な)日中戦争の表象とその受容、そして、中国人が描いた日中戦争表象などを検討対象とした。
これまで、〈中国〉を表象した文学的言説として、尾崎士郎『悲風千里』(1937)、小田嶽夫「泥河」(1937)、田中英光「鍋鶴」(1939)、太宰治「鴎」(1940)などをとりあげて、モチーフとしての中国の切り取り方、表現や受容の特徴を分析してきた。
また、最終年度には、岸田國士『北支物情』・『従軍五十日』(1938)や川端康成「高原」(1937-39)、さらには林語堂『北京好日』(1940)の日本での翻訳状況および中国理解への方向について、昭和10年代における文学場の変容を考慮しながら、戦争・戦場を後景にしながら日本(人・語)をクローズアップしていくという、〈中国〉表象の特徴を明らかにした。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 『北支物情』・『従軍五十日』の同時代評価 : 岸田國士の昭和一〇年代を考えるために2015

    • 著者名/発表者名
      松本和也
    • 雑誌名

      立教大学日本文学

      巻: 113 ページ: 50-63

    • 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 川端康成「高原」連作の同時代受容分析2015

    • 著者名/発表者名
      松本和也
    • 雑誌名

      国語と国文学

      巻: 92-4 ページ: 52-67

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 林語堂Moment in Peking翻訳出版をめぐる言説──日中戦争期の文学場一面2015

    • 著者名/発表者名
      松本和也
    • 雑誌名

      太宰治スタディーズ別冊

      巻: 2 ページ: 印刷中

    • 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 昭和一二年の報告文学(ルポルタージュ)言説 : 尾崎士郎を視座として2014

    • 著者名/発表者名
      松本和也
    • 雑誌名

      文藝研究

      巻: 177 ページ: 1-13

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 日中戦争期の中国文学受容一面──太宰治と中国について考えるための補助線2014

    • 著者名/発表者名
      松本和也
    • 学会等名
      「太宰治スタディーズ」の会
    • 発表場所
      慶應義塾志木高等学校(埼玉県)
    • 年月日
      2014-12-23
  • [学会発表] 川端康成「高原」連作から考える文学場一面2014

    • 著者名/発表者名
      松本和也
    • 学会等名
      立教大学日本文学会大会
    • 発表場所
      立教大学(東京都)
    • 年月日
      2014-07-05

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公開日: 2016-06-01  

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