本研究は、明治期を代表する漢詩人森槐南(文久 3 年〈1863〉一明治 44 年〈1911〉)の文学活動について、総合的に把握し、近世・近代の日本漢詩史、明治文学史、東アジア文化交流史など、様々な文脈のなかで分析・評価するものである。具体的には、槐南の事跡および詩作、槐南の漢詩観、呉汝綸をはじめとする清末文人と槐南との交流、明治文学全体に対して槐南が及ぼした影響などを、刊行された詩文集、新聞雑誌資料、自筆書入れが入った蔵書資料などの資料を調査することによって明らかにした。また、槐南に関する知見を手がかりに、近世後期から明治期にかけての日本漢詩の理解について、新たな構図を提示した。
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