戦時期メディアとしてまず文藝春秋社が1937年より臨時増刊として発行し、後に月刊となった時局雑誌『現地報告』について、当該資料および関連資料を収集し、その解題と総目次を「「戦時期メディアの編成と展開――文藝春秋社発行『現地報告』総目次(上)」(『埼玉学園大学紀要 人間学部篇』2010)、「戦時期メディアの編成と展開――文藝春秋社発行『現地報告』総目次(下)」(『埼玉学園大学紀要 人間学部篇』2011)として発表した。全67冊の全体像を明らかにするとともに、誌面の展開を具体的な目次細目から一覧できるようにした。また「発売禁止」処分の実態についても明らかにし、代表的な出版メディアが文壇と関わりながら展開していく様相の一端を浮き彫りにした。 また戦地で現地の兵士によって発行された雑誌『兵隊』について、復刻版を入手し、その誌面を分析した。中央文壇や出版メディアの動向とは異なる地点で編集された 周縁のメディアではあるが、そのメディアの動向や読者の様態が、中央文壇に発表された火野葦平の戦争小説と関連していることを明らかにした。
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