この研究では、神田本などの古い形態を保った『太平記』を中心に取り扱った。また、『太平記』の享受についても研究し、絵巻物など江戸時代の作品について検討を加えた。 前者については主に2点の観点から考察を行った。(1)『太平記』の諸本を調査し、文献学的に本文の研究を行った。(2)神田本を中心とした『太平記』の古態本の表現性を追究した。同様に、後者についても主に2点の観点から研究を進めた。(1)江戸時代の「太平記」という名を書名に含む作品の検討から、江戸時代における『太平記』のイメージを考えた。(2)未紹介の『太平記』と関わりの深い絵巻物を紹介し、その内容について検討を加えた。
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