研究課題/領域番号 |
23720123
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研究機関 | 皇學館大学 |
研究代表者 |
速水 香織 皇學館大学, 文学部, 助手 (60556653)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 出版文化 / 出版ネットワーク / 浮世草子 |
研究概要 |
近世前期における三都出版界のネットワークを把捉するため、特に元禄期後半に刊行された浮世草子に係わる出版書肆の活動調査を継続して行った。調査対象とした書肆は、万屋清兵衛、須原屋茂兵衛、菊屋七郎兵衛、雁金屋庄兵衛等である。得られた調査結果は、既に公表したものの充実化も含めて個々に年表として纏め、これに基く各書肆の関係性の広がりについて明らかにしてゆく予定である。浮世草子の上方から江戸への伝播について、特に江戸板浮世草子の内容において上方からの影響を考察するにあたり、当時の作品中に広く見られる要素「伊勢参り」に着目し、諸作品から同要素の利用例を収集・分析し、研究論文を作成した(「近世前期文芸における大神宮と伊勢参宮」)。さらに、西鶴浮世草子における伊勢参宮を趣向として取り入れた『好色五人女』巻二を取り上げ、研究発表を行た(「『好色五人女』巻二「情を入し樽屋物かたり」における「ぬけ参り」」西鶴研究会、平成23年8月12日)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
出版書肆の活動調査については、概ね順調に進行している。特に、江戸・上方双方の書肆を調査することにより、これらの地域において相互関連性が格段に深まったのは、やはり浮世草子出版を通した関係の密接化によるものであることが裏付けられつつある。さらに、西鶴をはじめとする上方浮世草子を内容分析を進め、元禄時代後半に刊行された江戸板浮世草子への影響を具体的に論じる準備を整えることが出来た。これにより、予定通り江戸板浮世草子、特に桃林堂蝶麿作浮世草子の再評価を行ってゆく。
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今後の研究の推進方策 |
桃林堂を中心とした江戸板浮世草子における上方浮世草子摂取の状況、ならびに江戸板浮世草子の独自性について論じてゆく。平成24年度は、上記と併せ江戸前句附俳諧の句作りについての調査を行う。また、書肆の活動調査についても、継続して進めてゆく。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究課題を進めるにあたり必要と思われる諸学会・研究会出席のための旅費並びに資料調査に係る旅費として使用する。加えて、必要と思われる書籍購入費としても使用を予定している。
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