研究課題/領域番号 |
23720124
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研究機関 | 大谷大学 |
研究代表者 |
箕浦 尚美 大谷大学, 文学部, 非常勤講師 (70449362)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 本地物 / お伽草子 / 偽経 / 金剛寺 / 菩薩行 / 誓願 |
研究概要 |
中世の信仰を色濃く反映するお伽草子「本地物」のうち、『阿弥陀の本地』や『日月の本地』等、仏や菩薩の前世を描いた作品の祖型は、平安時代中期に日本で撰述されたと考えられる『大乗毘沙門功徳経』『観世音菩薩往生浄土経』等の偽経として存在している。それらは、従前の経典内容に不足を感じるようになった時代の要請に応じたものであり、当時の菩薩行や誓願観を反映していると考えられる。本研究の主な目的は、その思想と説話・物語との関わりを明らかにすること、また、後代のお伽草子「本地物」の構造について、菩薩行や誓願の視点からの見直しを図ることの二点である。初年度の基礎研究として、以下の作業と研究を行った。1平安期における菩薩行・誓願についての把握・分析。平安期の菩薩行・誓願が反映されている金剛寺蔵『百願修持観』(平安後期写)の分析を行った(論文発表)。また、基礎作業として、菩薩に関する経典記事の抜き書きである金剛寺蔵〈佚名諸菩薩感応抄〉(平安後期写)の「菩薩」「菩薩名義」部分を精読した。2平安期の本地物語や天竺説話における菩薩行と誓願の把握・分析。基礎作業として、『観世音菩薩往生浄土経』を精読した。3中世本地物語の分析。お伽草子「本地物」の冒頭には、神仏に祈って子を授かる「申し子」譚を持つ作品が多いことから、お伽草子における申し子の具体例を調査・整理し、「本地物語における申し子譚の位相」と題して、口頭発表を行った。4文献調査と情報収集。金剛寺・興聖寺等における聖教共同調査へ参加し、中世聖教の把握に努めた。また、金沢文庫・国文学研究資料館等において、関連資料の収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に示した点に関しては、計画通りに進展したが、『法華経』『金光明経』『大乗毘沙門功徳経』『法華験記』『今昔物語集』『私聚百因縁集』等の文献における菩薩行と誓願の記事の確認・整理が不十分である。
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今後の研究の推進方策 |
菩薩行・誓願の観点から、平安期資料と中世本地物語とをそれぞれ整理し、本地物語の構造を考察する。1平安期における菩薩行・誓願についての把握・分析。(1)『法華験記』『今昔物語集』等の日本説話における菩薩行の実践記事を整理する。(2)千観『十願発心記』や源信『往生要集』等の菩薩行や誓願を整理・分析する。(3)金剛寺蔵〈佚名諸菩薩感応抄〉(平安後期写)の精読を継続する。(4)中世寺院聖教等の関連文献を検討する。2平安期の説話・物語における菩薩行と誓願の把握・分析。(1)『今昔物語集』『三宝絵詞』『私聚百因縁集』等における天竺説話の菩薩行や誓願を整理・分析する。(2)『大乗毘沙門功徳経』『観世音菩薩往生浄土経』を精読する。3菩薩行・誓願を視座とした、中世本地物語の分析。(1)苦難・誓願・転生の有無等によって作品を分類する。(2)本地物語の主人公が被る苦難と過酷な実践的菩薩行との比較分析を行う。(3)本地物語の作品研究を行う。(4)関連資料の収集と検討を行う。4研究発表。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画通りに使用する。主に、図書費、調査研究旅費として予定している。
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