研究課題/領域番号 |
23720129
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研究機関 | 明石工業高等専門学校 |
研究代表者 |
仁木 夏実 明石工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40367925)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2017-03-31
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キーワード | 彰考館 / 詩集 / 詩纂 |
研究実績の概要 |
本研究は、近世初期における大名家・禁裏および儒者といった様々な人々による日本漢詩文の書写や集成、そしてそれらの成果を支えた校訂事業などの研究に着目し、いまだ十分とは言えないその全容の解明、そして、その主な研究対象となった中古・中世漢詩文への新たな視角の獲得を目指すものである。 こうした研究の一環として、今年度は主に「和漢兼作集」の研究を行った。「和漢兼作集」は上古から鎌倉時代中期に至る、和歌と漢詩の両方を制作(兼作)した人々の作品を部類別に集成した詩歌集であり、編者は岡山大学付属図書館池田家文庫蔵『歌書目録』によると漢詩句を菅原在嗣、和歌を真観(藤原光俊)が撰したとされるが、作者の官職注記には、建治二年(1276)の真観没後のものが相当見受けられ、いまだ未解明のことの多い集である。長らく宮内庁書陵部本のみが知られていたが、近年、冷泉家時雨亭文庫にその親本が蔵されていること、さらにこれまで知られていなかった八丁分が公開され、その部分と、近世に書写された日本漢詩集成である、徳川ミュージアム(彰考館)蔵「詩集」に同じ人物の手控えを書写したと見られる部分があることから、注目される。今年度の研究では、現存する「和漢兼作集」と真観撰の和歌集「万代和歌集」「秋風和歌集」等との撰歌傾向の近さについて整理することが出来た。 また、昨年度研究発表を行った内閣文庫蔵「十番詩合」についても、成立状況の整理を踏まえ、精読を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
彰考館レファランスルーム、内閣文庫といった、研究対象を所蔵する機関での調査を予定していたが、行うことができなかったため、これまでの調査及び勤務校で行い得る研究が主体となった。
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今後の研究の推進方策 |
推進方策については大きな変更は予定していない。平成28年度は主に徳川ミュージアム(彰考館レファランスルーム)及び内閣文庫所蔵林家所蔵資料の調査・研究を行い、そこから得られた知見を随時発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請者の生活状況が大きく変化し、申請時に予定していた調査旅行、学会参加等が困難となったことが主たる理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は出来る限り調査旅行・学会参加を行い、それが困難な場合は資料の取り寄せやそれに替わる研究を行う。
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