本研究では持続可能な社会構築という現代的課題に応えるため、現代アメリカ文学における持続可能性表象を検証し、さらにその知見を持続発展教育(ESD)教材作成に応用した。研究代表者は研究期間を通してフォークナー、ウォレン、スナイダー、パール・バックなどのテキストにおける持続可能な発展の表象を解析した。文学作品が持続可能性を描く仕方には悲観的なものも多く、ことに戦争を描いた作品では人間の自由の持続不可能性が描かれている。しかし文学的営為とは人間の生の困難さを真摯に見つめつつ、そこに一縷の希望を見出そうとするものである。そしてこのことはまた、現代社会における困難かつ必要な営みであるESDとも響きあうものがあると思われる。
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