平成26年度には、ウェールズ英語文学研究の基礎を固める本研究課題の仕上げとして、北ウェールズ出身の作家エミール・ハンフリーズ(Emyr Humphreys)を、イングランドのモダニズム作家ヴァージニア・ウルフ(Virginia Woolf)および日本の現代作家である村上春樹と比較研究するというプロジェクトを進め、その成果はウェールズで行われたウェールズ英語文学学会(Association for Welsh Writing in English)年次大会でのパネル報告にて口頭発表した。 同時に、ニュージーランド、ウェリントン・ヴィクトリア大学のドゥーガル・マクニール(Dougal McNeill)およびチャールズ・ファレル(Charles Farrell)が編集し、ケンブリッジ大学出版局より出版される予定の、1920年代から1940年代を対象とするイギリス文学史(仮題British Literature in Transition)の、ウェールズ文学の章の執筆に向けて基礎的な研究を進捗させた。ルイス・ジョーンズ(Lewis Jones)、ジャック・ジョーンズ(Jack Jones)、マージアッド・エヴァンズ(Margiad Evans)、B. L. クームズ(B. L. Coombs)などの作品の検討を進めた。このプロジェクトについては、原稿の提出締め切りが平成27年9月となっているため、本研究課題の期間が終わった後も継続的に研究を続けていくことになる。 また、ウェールズ出身の作家・批評家であるレイモンド・ウィリアムズについての研究も継続し、『労働と思想』に大貫隆史との共著でウィリアムズについての章を寄稿した。
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