研究課題/領域番号 |
23720137
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
高山 智樹 北九州市立大学, 文学部, 准教授 (70588433)
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キーワード | 国際情報交換(イギリス) / カルチュラル・スタディーズ / レイモンド・ウィリアムズ / テリー・イーグルトン |
研究概要 |
平成24年度の研究成果は、大きく2つに分けることができる。1つ目の成果は、去年に引き続いて、夏期に実施したイギリスへの調査旅行であり、そこでウェールズのスウォンジー大学のリチャード・バートン・アーカイブに収められているレイモンド・ウィリアムズ・ペーパーズの閲覧を行い、レイモンド・ウィリアムズの研究・活動をめぐる人的ネットワークを明らかにするような各種資料を閲覧した。それとともに、同大学のスタッフである、ダニエル・G・ウィリアムズ教授にインタビューを行い、レイモンド・ウィリアムズ研究の最新の動向について、意見を交換した。昨年はおおまかなアーカイブにおける資料収集状況の確認にとどまっていたが、今回は各種資料を長時間かけて丹念に読み込むことで、当研究の中心的な課題であるウィリアムズが作っていた人的ネットワークの解明に向けた作業が大きく前進したと言える。 2つ目の成果は、「文化研究」そのものの学問的な検討作業の実施である。戦後から現代に至るまでの「文化研究」もしくは「文化社会学」の学問的な位置づけ・変遷を明らかにするというのは、当研究の大きな課題の一つであるが、その一環として、戦後イギリスにおける文化社会学の歴史を概観するという作業を行い、その成果を平成24年8月23日に行われた一橋大学言語社会研究科プロジェクト「マルクス主義批評の現在ーーBridging Social Left and Cultural Left」講演会で報告した。また、昨年度から引き続き行っている「文化」概念の再検討の作業については、平成25年1月に発行された『社会文化研究』15号に寄稿した論文「私たちはどのような文化を生きているのか」で展開している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リチャード・バートン・アーカイブに収められているレイモンド・ウィリアムズ・ペーパーズについては予定通り詳細な検討を行うことができ、また関係者へのインタビューも一部実施することができた。参加を予定していたレイモンド・ウィリアムズ・ソサイエティ主催のシンポジウムには、日程の都合上、参加が適わなかった。 イーグルトンを始めとするマルクス主義的な文化研究の検討についても、進展が見られ、その一部は講演会という形で発表することができた。また、イーグルトンの文化論に依拠した、文化研究の方法論の検討という課題についても、論文という形で発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、前年度に引き続き、レイモンド・ウィリアムズの研究・活動をめぐって作り上げた人的ネットワークを構成する人々へのインタビューを行うことが、最重要の課題となる。そのためには、平成25年の秋に開催されるレイモンド・ウィリアムズ・ソサイエティ主催のシンポジウムに参加して、その参加者との交流を行うことを予定している。その事前準備として、引き続き、文化研究の現状についての研究を行い、電子メールなどで交流が可能な研究者・活動家との事前の打ち合わせなども必要となろう。 それらの作業を踏まえ、平成25年度の後半を使って、これまでの研究成果をまとめ、『北九州市立大学紀要』を初め、複数の雑誌に論文として発表することを予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
上述した通り、平成25年度は最低1回の渡英を予定しているため。研究費の主たる部分は、イギリスへの渡航費、現地での滞在費、さらにはシンポジウムへの参加費などにあてられる予定である。前年度の繰越金についても、その経費として使用する。
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