研究課題/領域番号 |
23720158
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
大貫 隆史 関西学院大学, 商学部, 准教授 (40404800)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 英文学 / 文学批評 / 文化論 / イングランド:ウェールズ / 社会 / 近代化論 / 国際情報交流 |
研究概要 |
本研究課題「文学批評再読による1960年代英国文化論-「モダニゼィション」による社会の消失」の最大の目的は、文学批評の再読を通して、1960年代英国文化論見直しの端緒をつけることにある。これを達成するべく、下記二つの観点から研究を行っている。「1.社会への「反抗」から、社会の「消失」へ」。1960年代は若者の反乱など社会への「反抗」の季節とされるが、この時代を社会の「消失」という観点から再考察する。「2.「モダン」と「モダニゼィション」」。文学批評における「モダン」論ならびに政治的言説における「モダニゼィション」論という観点から、1960年代文化を読み直す。 また、本研究課題を進めていく上での原則的な軸は、以下の三つに置かれている。「(1) 1960 年代の文学批評及び政治的言説の収集及び分析」。「(2) レイモンド・ウィリアムズの1960 年代文化論の調査及び分析」。「(3) 1960 年代のウェールズ文学・文化の調査及び分析」。 本年度(平成23年度)は、1960 年代英国文学批評、文化論、政治的言説、およびのこの三者に関連する文献の収集を行った。なお(2)については、ウェールズのSwansea UniversityのThe Raymond Williams Papersにおけるアーカイヴ調査を行い、また、(2)及び(3)に関わるものとして、ウェールズの専門家から課題遂行上有益となる知見の提供を受けることもできた。なお、(2)のR・ウィリアムズについては、彼の初期ドラマ論を分析する口頭報告を行ったが、これによって1960年代の彼の文化論に至る重要な系譜を探ることができた。また、(1)及び(2)に関わるものとして、本研究課題の理論的基礎となる論文の公表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の初年度にあたる本年度(平成23年度)の重点的な実施目標として、次の二つが挙げられる。1. 英国(the United Kingdom)文学批評、レイモンド・ウィリアムズの文化論、ウェールズ文学・文化に関わる資料の収集。2. 1960 年代の文学批評及び政治的言説の読解および分析、成果公表。 1については、海外図書館(The Raymond Williams Papers, Swansea University)に所蔵されている資料含め、初年度に目標としていたものは、一部入手に時間を要するものを除いて、おおむね収集できたものと思われる。 2については、1960年代の文学批評と政治的言説を、ライオネル・トリリング(アメリカの批評家・文学研究者)、ハロルド・ウィルソン(同時期の労働党リーダー)、レイモンド・ウィリアムズ(イギリスの批評家・文学研究者)の三者を論じることで分析した論文を公表できた。これは、文学批評/政治的言説という従来的区分をモダニゼィション論という地平から、その共通性と相違を新たにあぶり出しながら、1960年代英国における「社会の消失」という感情構造を考察するものである。初年度に目標としていた研究課題遂行上の基礎的理論の構築という観点からは、おおむね充分なものと言えるものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
二年目にあたる平成24年度については、初年度(平成23年度)に行った1960年代英国の文学批評と政治的言説についての分析作業を踏まえ、1960 年代の支配的思潮を浮き彫りにすべく、「レイモンド・ウィリアムズの1960 年代文化論の調査及び分析」、「1960 年代のウェールズ文学・文化の調査及び分析」にかかわる、収集資料の読解分析を重点的に実施する。また、「モダニゼィション(近代化)」という初年度に考察・分析した観点から、1960年代の状況について、この時期に至るまでに歴史的系譜、この時期以降現在までの変化を見据える必要が出てきた。この知見を踏まえ、資料収集・読解を進めるものとする。 その際、前年度(平成23年度)の収集資料に追加すべき資料が生じた場合は、海外も含め、柔軟に追加的収集を行うものとする。なお、前年度同様、関連分野の研究者と、知見を共有することで、課題遂行の円滑化を期する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度(平成23年度)の末頃において、研究の進展にともない、とくにウェールズ文学・批評、英国文化論にかかわる資料など海外から取り寄せに一定期間を要するものを入手する必要が出てきた。本年度(平成23年度)中の入手は困難であるが、翌年度(平成24年度)であれば入手可能であり、当該研究費については、これらの資料の収集に使うものとする。
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