研究課題/領域番号 |
23720160
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研究機関 | 広島経済大学 |
研究代表者 |
本岡 亜沙子 広島経済大学, 経済学部, 講師 (70582576)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 米文学 |
研究概要 |
平成23年度、筆者は研究計画に則り、学会発表2件と雑誌論文1本の執筆と投稿を行った。研究実績は以下の通りである。1)研究発表「Housekeepingと教育 ―Louisa May Alcott の Little Women 三部作を中心に―」【研究内容】<若草物語三部作>に登場する教育施設では、男女の別なく生徒が教育を受け、また家事労働をしていた。このような家事労働と教育の融合は、19世紀後半のアメリカで相次いで設立された、農業や家政学を教える高等教育機関や、家事育児の専門機関としての幼稚園にみられる。本発表では、作品群内における教育制度と同時代のアメリカ教育界におけるそれとを比較分析することで、オールコットの先駆的な教育観やジェンダー観を究明した。2)研究発表 "Truth lies at the bottom of a well": The Ambiguous Boundaries between Individual and Community in Louisa May Alcott's "Transcendental Wild Oats" 【研究内容】オールコットの教育観を考察する上で、父親ブロンソンの教育思想から受けた影響関係を抜きにすることはできない。事実、<若草物語三部作>に登場する学校は、家族的雰囲気あふれるものであり、そこには父親の信奉したユートピア思想が色濃く反映されている。本発表では、ブロンソンのユートピア思想と教育の関連性を考察した。3)平成24年3月末に、1)の発表原稿を加筆修正した論文「"moral pap for the young" ―Alcott の<Little Women 三部作>における家事と教育―」を、『日本ソロー学会研究論集』(第38号、日本ソロー学会、2012)へ投稿した。現在、論文採択可否の結果を待っている状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成23年度は、論文「19世紀後期アメリカ文学における女子教育 ―ルイーザ・メイ・オールコット作品を中心に―」を執筆し、学会発表を経て、国内外の学術雑誌に投稿する計画を立てていた。この研究計画と今年度の研究実績を照らし合わせると、予想以上の結果が得られたと考える。その理由は以下の通りである。1)まず、ルイーザ・メイ・オールコットの先駆的な女子教育観や、その背景にある同時代アメリカ教育界における教育と家事を融合する流れに迫ることができた。2)1)に関する研究発表と論文執筆ができた。3)さらに、父ブロンソンやほかの超越主義者たちの教育観と、それらがオールコットの教育観に与えた影響を、比較分析する研究発表ができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、「研究実績の概要」の2に記載した発表原稿をもとにさらに研究をすすめ、論文執筆を行う。その後、平成23年度の研究成果を基盤にして、論文「19世紀後期アメリカ文学における『インディアン』教育 ―ルイーザ・メイ・オールコットの『小さな紳士たち』と『ジョーの息子たち』を中心に―」を執筆し、学会発表を経て、国内外の学術雑誌に投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、論文「ルイーザ・メイ・オールコットの『トランスセンデンタル・ワイルド・オーツ』における個人と共同体の相克」と、論文「19世紀後期アメリカ文学における『インディアン』教育 ―ルイーザ・メイ・オールコットの『小さな紳士たち』と『ジョーの息子たち』を中心に―」に関する資料(図書含む)を購入する。また、夏季にオールコットの未発表の手記や書簡を所蔵するハーヴァード大学ホートン図書館へ研究用資料の収集に行き、より徹底した調査を行う。
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