研究課題/領域番号 |
23720160
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研究機関 | 広島経済大学 |
研究代表者 |
本岡 亜沙子 広島経済大学, 経済学部, 助教 (70582576)
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キーワード | 英米文学 / 米文学 / ルイザ・メイ・オルコット / 子どもの教育 / アメリカ・イギリス |
研究概要 |
平成24年度、筆者は(1)学術論文1本と(2)研究集会報告1本、(3)共著用原稿1本の執筆・提出、(4)学会発表1件、さらに(5)学術雑誌投稿用の原稿1本の執筆を行い、「19世紀後期アメリカ文学における子どもの教育」の研究を深めた。研究実績の詳細は以下の通りである。 1)「“moral pap for the young”―Alcottの<若草物語三部作>における家事と教育」【研究内容】本稿では、オルコットの先駆的な女子教育観や、その背景にある教育と家事を融合する19世紀アメリカ教育界の流れに迫った。 2)「孤児と個人のアメリカ,それからわたしたち―わたしの研究とマイ<ホーム>」【研究内容】本稿では、19世紀アメリカにおける女子教育や文化的孤児教育、ならびに筆者の実家で行っている小規模児童養護施設「本岡ホーム」を紹介した。 3)「“Naming No Names”―オルコット『病院のスケッチ』における《原ヨーロッパ体験》としての看護」(共著『海を渡った19世紀アメリカ女性作家・思想家―アメリカ社会・文化への影響』用原稿を執筆し提出した。【研究内容】オルコット『病院のスケッチ』を通して、筆者の従軍看護師体験から孤児救済活動にまで及ぶ、自己実現と利他主義の相克を考察した。 4)研究発表「“Truth Lies at the Bottom of a Well”―Louisa May Alcottの“Transcendental Wild Oats”における個人と共同体の相克―」【研究内容】オルコットの共同体実験記「トランスセンデンタル・ワイルド・オーツ」に描かれた作家の教育観やユートピア思想を、父ブロンソンや超越主義者ラルフ・ウォルド―・エマソンらのそれらと比較対照しながら追究した。 5)4の発表原稿を大幅に改稿した論文の執筆を完了した。平成25年度中に筆者の所属学会の学術雑誌へ投稿する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、下記の理由により、昨年度以上に充実した研究が行えた。 1)平成23年度末に投稿した論文が学術雑誌『ヘンリー・ソロー研究論集』に掲載されたことで、研究成果を公開できた。 2)平成23年度の研究成果をもとにした研究集会報告が『広島経済大学研究論集』に掲載されるとともに、広島県大学共同リポジトリ(HARP)を通して研究成果全文がWEB上で公開された。 3)来年度投稿予定の学術雑誌用原稿も執筆できた。 4)共著の原稿依頼があったことで、研究成果をより幅広く公開できる機会を頂けた。また、オルコット文学や彼女の教育感の根幹にある自己実現と利他主義の相克について、さらにオルコットの執筆や生き方におけるヨーロッパからの影響関係を掘り下げて考察することができた。 5)夏季にアメリカで資料収集を行えた上、作家ゆかりの地を訪問し、オルコット研究者との交流が深まった。さらに、後者の縁により、来年度学会発表することが決定した。これも、渡米の成果と言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度、筆者は下記の予定で研究を推進していく。 1)「研究実績の概要」の4と5に記載した論文を筆者の所属学会の学術雑誌へ投稿する。 2)平成25年7月17日、オルコット関係の研究会The Summer Conventional Series 2013(アメリカ、コンコード)で、研究発表“Orphans at Home: From “Motohka-Home” to American Literatureを行う。本発表では、オルコットを中心としたアメリカ文学にみられる女子教育や文化的孤児教育、さらには日本の孤児文学や、筆者の実家で行っている小規模児童養護施設「本岡ホーム」の紹介も行う予定である。 3)夏季には、オルコット論文「19世紀後期アメリカ文学における黒人教育 ―ルイーザ・メイ・オールコットの作品を中心に―」の執筆に向け、作家の未発表手記や書簡が所蔵されているハーヴァード大学ホートン図書館へ収集に行き、徹底した調査を行う。 4)上記3の資料収集の成果報告をするため、「19世紀後期アメリカ文学における黒人教育 ―ルイーザ・メイ・オールコットの作品を中心に―」を執筆する。 5)平成23年度から25年度にわたる本研究課題の集大成として、成果報告書をまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度、筆者は平成24年度の繰越金と平成25年度予算を合算した研究費を、以下のとおり使用する。 1)研究会The Summer Conventional Series 2013への参加費、旅費宿泊費などを支出する。 2)アメリカで、オルコットの未発表原稿や手記などの資料調査をするための、旅費宿泊費を支出する。 3)研究発表“Orphans at Home: From “Motohka-Home” to American Literature、ならびに論文「19世紀後期アメリカ文学における黒人教育 ―ルイーザ・メイ・オールコットの作品を中心に―」のために必要な書籍を購入する。
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