研究課題/領域番号 |
23720169
|
研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
齊藤 哲也 明治学院大学, 文学部, 准教授 (10507619)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | シュルレアリスム / 現代美術 / 科学的言説 / ヴォルフガング・パーレン |
研究概要 |
研究計画書に記したとおり、研究初年度にあたるこの年度では、問題の所在がみえやすいひとりの人物に注目して本研究のテーマである20世紀芸術と同時代の科学的言説についての調査を進めた。ウィーン出身のヴォルフガング・パーレン(Wolfgang Paalen)は、1930年代のなかごろパリでシュルレアリスム運動に加わった人物である。この人物が主宰していた『DYN』(1942‐1944)と題される雑誌に今年度はとくに注目した。この雑誌に収録された論考を個別に分析することで、当時シュルレアリスムのサークル内でどのような問題が議論されていたかを具体的に検討していく作業が進められた。この年度の夏に予定されていた海外における研究調査については、先の大地震の影響で予算額が定まらなかったために、実行できなかった。この件については平成25年度に実施することにする。その代わりに、平成24年度に予定していた研究内容をまえもって進めていった。本格的な研究については24年度に行う予定であるが、シュルレアリスムの作家や芸術家たちが、従来の区分においては「文学」や「美術」の対象外にあるとされてきた特殊な言説や図像(たとえば「ダイヤグラム」など)を、いかなる仕方で自らの言説や作品のなかに移入し、またそれをいかなる仕方で文学や美術固有の問題として作りかえていったのか。このような本研究の軸となる研究を進めていくための準備を整えた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」でも記したように、研究計画として平成23年度に予定していた海外における資料調査を実施することができかった。これは、先の大地震の影響で今年度の予算の最終額が決定しなかったためである。この遅れにについては、あらかじめ海外での調査を予定していた平成24年度にくわえ、当初、海外調査を予定していなかった平成25年度に実施することで、三年間の研究期間中にはカバーできる。
|
今後の研究の推進方策 |
今度の研究については、おおむね研究計画書の年次予定にしたがって進めていく。国内でできる資料調査については、おおむね予定どおり進んでいるが、海外の特別図書館を利用した資料調査はやや遅れているので、各年次の早い時期に海外での研究調査を実施し、国内での資料調査、総括に遅れが生じないよう気をつける。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究計画書に記したとおり、平成24年度の具体的な検討課題として最初に取り上げたいのは、シュルレアリスムの中心メンバーであるアンドレ・ブルトン(Andre Breton)における科学的言説の受容の問題である。それに関連する図書、おもな分類としては「シュルレアリスム関連図書」、「科学史関連図書」、「文学・美術史関連図書」を購入し、国内で研究調査を進める。1930年代のフランスで出版されていた、科学についての啓蒙書や雑誌類を調査するために、夏に一カ月程度の海外調査を実施する。その成果を学会等で発表するために、年度内に二回程度の国内出張を実施する。
|