本研究は、従来啓蒙主義へのアンチテーゼとみなされていたドイツ・ロマン主義を啓蒙主義的諸学問との関係で捉え直し、ドイツ・ロマン主義が啓蒙主義的学問を踏まえ、それを乗り越えて行く運動であることを明らかにする試みである。当該研究では主に、ノヴァーリス『ハインリヒ・フォン・オフターディンゲン』、フリードリヒ・シュレーゲル『ルツィンデ』、クレメンス・ブレンターノ『ゴドヴィ』、およびハインリヒ・フォン・クライストの短編を分析し、ロマン主義的「新しい神話」運動の変遷の過程を啓蒙主義的感覚論、歴史哲学、自然科学の文脈から捉え直した。
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