無意識という観点から、マラルメと広義の象徴主義に属する作家の作品群について分析した。他者と共有された魂としての無意識は、「家族」や「儀礼」、「生=性」、「自然」と関連する概念であることが明らかになった。研究の結果得られたのは、マラルメによって「自己」と名指された無意識の概念の、通時的側面である。魂の交流は結婚の比喩で語られるが、『アナトールの墓』の読解によって、これが必ずしも男性と女性の結婚に限らないことが分かった。それは、子孫との相続、遺伝関係も含意しているのであり、世代を超えて伝えられていく遺伝形質こそ、マラルメの文学の核であり、後世の人々との関係性を示す概念となることを示すことができた。
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