近現代の文化芸術に大きな影響を与えたロンゴスの古代ギリシア恋愛牧歌小説『ダフニスとクロエー』について、テクストの分析と近現代の欧米と日本における受容という二つの大きな視点から研究をおこなった。まず、テクスト分析に関しては、古典ギリシア語原典の試訳を作成しながら、物語の流れに沿って分析を試みた。つづいて受容研究では『ダフニスとクロエー』の受容史を多角的にとらえるため、文学テクストだけでなく、媒介となった古典ギリシア語の写本や校訂本、各国語による翻訳の考察、さらには美術・音楽への影響にまで視野を広げ、『ダフニスとクロエー』を通して見た文化史研究としてとらえようとした。
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