中国近世白話小説の発展と挿絵との関係について調査/考察をおこない、いくつかの口頭発表と論文発表をおこなった。特に元代末期ごろに成立したと言われる『全相平話』は、ページの上部に絵が、その下に当時の中国の口語体(白話)で物語の本文が載せられており、絵と本文が一緒についたものとして現存作品の中では最初期のものとされている。その挿図の性格について、敦煌の壁画や日本の絵巻物などを参考にして、これまでにない意見を提示することができた。また、白話小説に関するさまざまな資料や複写を入手し、また実際に所蔵機関に出向いて調査することができた。
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