本年度は、研究課題「台南文学の研究‐日本統治時代の日本語文学を中心に」について、以下の実績をあげることができた。 (1)研究成果の公表:本年度は、一回の研究会発表を行い、二編の論文を発表した。まず「新垣宏一の見た台南‐「女誡扇綺譚」から「第二世の文学」、「本島人の真実」へ」と題する発表を、東京台湾文学研究会の例会(東京大学、6月)で行った。またその内容をまとめ、「新垣宏一と本島人の台南‐台湾の二世として台南で文学と向き合う」と題する論文を、関西学院大学法学部外国語研究室の紀要『外国語外国文化研究』第16号(2014年3月)に掲載した。次に、「古都で芸術の風車を廻す‐日本統治下の台南における楊熾昌と李張瑞の文学活動」と題する論文を、大阪市立大学中国学会の雑誌『中国学志』第28号(12月)に掲載した。これで、過去に研究を行った、前嶋信次・國分直一を含む、計4名の日本人作家・学者の見た台南について、研究成果を挙げることができた。現在これらの成果を収めた研究書の刊行を準備中である。 (2)資料・書籍の購入と分析:本年度も、科学研究費助成事業を利用して、植民地・日本文学・外国文学・比較文学と関わる資料や研究書を購入することができた。これらの資料や先行研究の分析を進めた。 (3)資料の調査・収集と分析:12月に台南の台湾文学館や台南市立図書館で、関係する資料の調査・収集を行ない、台南文学と関わる資料や書籍を閲覧できた。現地の図書館のみが所蔵する資料・書籍も多く、成果があった。また、本年度も現地の文学研究者と意見を交換するなど、大きな収穫があった。
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