1. 最終年度(平成24年)に実施した研究の成果: (1)研究対象である『初学指南』との関連文献資料を調査した。具体的には、10月9日~同19日の間、中国内モンゴル社会科学院・赤峰市民族事務委員会・北京中央民族大学にて、『清文指要』・『蒙満文会話読本』など文献資料を閲覧・入手した。また、12月4日に、東京大学文学部漢籍コーナーに蔵されている『初学指南』及び関連文献を調査した。これにより、『初学指南』の文献学的比較・校正が完成された。(2)『初学指南』のモンゴル語の全文に日本語訳を施し、そのモンゴル語の音韻・文法・語彙といった言語的特徴をまとめた。(3)11月17日に、愛媛大学で開催された日本モンゴル学会2012年度秋季大会において「近代モンゴルの学習書『初学指南』の満洲文字表記モンゴル語について」という研究発表を行った。発表の要旨は『日本モンゴル学会紀要』第43号[2013:93-94]に掲載された。 2. 研究期間全体を通じて実施した研究成果: (1)文献学的観点から、『初学指南』の異本と関連文献資料を調査し、『初学指南』のモンゴル語の校正・分析を行った。(2)言語学的観点から、『初学指南』のモンゴル語の音韻・文法・語彙といった言語的特徴を明らかにし、その方言の要素を指摘することができた。(3)近代モンゴル語の口語資料として『初学指南』の電子化テキストを作成し、そのモンゴル語の全単語索引および名詞・動詞語尾索引を作成した。 これらの成果は拙著『「三合語録」における満洲文字表記モンゴルの研究』[2012]、日本モンゴル学会2012年度秋季大会および『日本モンゴル学会紀要』[2013]によって掲載・発表されている。 なお、『初学指南』のモンゴル語の言語的特徴ををまとめて『日本モンゴル学会紀要』[2014]に投稿する予定であり、近い将来本課題の成果を出版することを目指す。
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