研究課題/領域番号 |
23720201
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
和嶋 雄一郎 東京大学, 大学院情報学環, 助教 (20572093)
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キーワード | 言語心理学 / 認知科学 / 言語コーパス / 確率判断 |
研究概要 |
本研究では、言語コーパスによる人間の判断が確率的な規則から逸脱する現象の予測システムを構築することを目的とする。本研究で 対象とするのは、3つの確率規則からの逸脱現象(連言錯誤、基準比率の無視、Salience Bias)とし、以下の2つのステップでシス テムを構築する。平成23年度は、利用する確証度の選定(各現象に対して、大量言語コーパスを用いて確証度を計算する。もっとも人 間の意思決定を予測可能な確証度を割り出すため、確証度と心理実験結果を比較しする)と連言錯誤に対する研究を行った。 言語コーパスの利用環境の構築では、公開されている言語データ収集し、単語頻度計算のためのデータベースを作成した。収集したデ ータは、ALAGINフォーラムで公開されているデータ、新聞データ、Blogデータ等である。 「連言錯誤」に対する研究では、まず、心理実験を行った。先行研究から、連言錯誤の問題文を抽出し課題とした(英語論文が主なた め、その翻訳を行い実験課題とした)。心理実験を行った後、確証度の計算を行った。具体的な手順としては、言語コーパスには上記 で構築したデータベースを利用し、抽出単語の頻度を計算した。その頻度情報から確信度を計算し、心理実験の結果と比較した。 これらの一連の結果から、Crupi, Tentori & Gonzalez(2007)が提案している確証度Zを言語コーパスデータを利用して計算した値と 連言錯誤が起こる割合の間に有意な正の相関が見られた。 この確証度Zに関しては,互いの事象の確率の差異が小さい場合,大きい方の確率の事象の評価が大幅に修正される特徴を持っている。このような特徴が人間の確率規則からの逸脱現象の原因となっていることが実験結果による議論から明らかになってきた。連言錯誤のみならず、比率基準の無視にも同様の傾向があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
人間の判断が確率的な規則から逸脱する現象の予測システムのベースは完成しているが、確率判断の心理学実験がまだ実施できていないため、やや送れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
基準比率の無視」、「Salience Bias」をターゲットとして研究を行っていく。前年度と同様の手順で、心理実験・確証度の計算を 行い、言語コーパスによる人間の判断が確率的な規則から逸脱する現象の予測を行っていく。 心理実験:先行研究から、「基準比率の無視」、「Salience Bias」の問題文を抽出する。英語論文が主なため、その翻訳を行い、実 験課題とする。また、Salience Biasに関しては国勢調査等の最新のデータを用意し、実験課題に用いる。 今年度は予測システムを完成させる。 帯域幅の大きいのネットワーク環境で言語コーパスを収集し、計算用のワークステーションを購入し、システムを完成させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
データベースサーバと確証度計算のためのワークステーションを購入する予定である。コーパスに関しては、ネットワークインフラの整った環境にサーバを設置し、Webデータを広く収集する予定であるため、外部サーバのレンタルを予定している。加えて、心理実験を2つ予定しているため、それに伴う謝金の使用を予定している。また、成果発表のため の旅費の使用も予定している。
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