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2011 年度 実施状況報告書

韻律情報が長音の知覚に与える影響に関する実験音声学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23720205
研究機関三重大学

研究代表者

竹安 大  三重大学, 共通教育センター, 特任講師 (80585430)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード長音 / 特殊拍 / ピッチ / F0
研究概要

日本語の特殊拍の知覚と韻律情報の関係を明らかにすることを目的とし、韻律情報、とりわけ基本周波数(F0)の変動が日本語の特殊拍の一つである長音の知覚にどのような影響を与えるかを調べた。母音の持続時間とF0を共に操作した刺激を用いた知覚実験を愛知・三重方言話者に対して実施した結果、長音の知覚はF0変動の影響を受けることが、また、F0変動の影響は語内の位置によっても異なることが明らかとなった。実験で観察されたF0変動の影響の現れ方は愛知・三重方言でほぼ一致しており、東京方言話者に関して報告されているものとも同様の傾向を示すものであった。23年度前半に得られた以上の成果は、論文として『名古屋芸術大学紀要』と『Philologia』に投稿した。長音の知覚に対するF0変動の影響が東京方言のみならず愛知・三重方言においても観察されたという事実から、長音の知覚とF0変動の間に言語普遍的な関係がある可能性が示唆された。そこで、日本語以外の言語を母語とする話者にもF0変動の影響が観察されるか否かを調べるための研究に着手することとし、平成23年度後半には、韓国語を母語とする日本語学習者を対象として、日本語の長音の知覚とF0変動の関係を調べるための予備実験を行った。さらに、日本語の長音の特徴を明らかにするためには、その他の現象とも比較してみることが重要であることから、以上の事柄と並行して、日本語の音韻論において長音と同じ特殊拍に分類される促音の知覚に関する研究も実施した。促音に関する実験結果は、日本音韻論学会において発表を行った他、学術誌『音韻研究』に投稿した(採録決定済、印刷中)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

平成23年度の実施計画内容を順調に実施することができただけでなく、研究のメインテーマである長音に密接に関連する領域である促音の研究も並行して実施したことなどにより、平成24年度も順調に計画を遂行するための見通しが立っている。また、実験結果も期待通りのものが得られており、学会発表に加えて音声学関連の研究会への招聘発表や、論文3篇の投稿・採択へとつながった。なお、次年度への予算の繰り越しは、投稿して採択された論文掲載料の支払いを24年度にすることになった(所属機関の事務規定による)ために生じたものであり、研究の進捗状況、予算使用状況ともに研究計画通りに進んでいる。以上の事柄から、当初の計画以上に進展していると判断できる。

今後の研究の推進方策

平成23年度の研究が順調に進み、実験結果もおおむね良好なものであったことから、その成果を踏まえて知覚実験を実施する。具体的には、日本語以外の言語の話者にも日本語母語話者と同様の傾向が見られるかどうかを、知覚実験を実施することにより調べる。また、長音に観察された傾向が長音以外の特殊拍(促音など)にも観察されるかを調べることで、当該分野における研究のさらなる発展を目指す。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度は、前年度に引き続き知覚実験を実施し、その成果を学会や学術史などで発表する。研究費はそのための費用として、実験実施のための資材購入、実験補助を雇用するための費用、被験者への謝金、成果発表のための旅費、学術誌への投稿料等として使用する。なお、次年度への繰り越し予算は、投稿して採択された論文掲載料の支払いを24年度にすることになった(所属機関の事務規定による)ために生じたものであり、前年度に投稿して採択された論文の投稿料の支払いに使用する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 語頭におけるF0変動と母音の長短の知覚2012

    • 著者名/発表者名
      竹安 大
    • 雑誌名

      名古屋芸術大学研究紀要

      巻: 33 ページ: 133-139

  • [雑誌論文] F0変動と母音の長短判断について:愛知および三重方言話者の場合2012

    • 著者名/発表者名
      竹安 大
    • 雑誌名

      Philologia

      巻: 43 ページ: 81-93

  • [雑誌論文] 促音の知覚に対する先行音節子音・母音の持続時間の影響2012

    • 著者名/発表者名
      竹安 大
    • 雑誌名

      音韻研究

      巻: 15 ページ: (採録決定済、印刷中)

    • 査読あり
  • [学会発表] 促音の知覚に対する先行音節子音・母音の持続時間の影響2011

    • 著者名/発表者名
      竹安 大
    • 学会等名
      日本音韻論学会(2011年度春期研究発表会)
    • 発表場所
      首都大学東京秋葉原サテライトキャンパス
    • 年月日
      2011年6月17日

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公開日: 2013-07-10  

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