今年度の研究実績としては以下の3点にまとめられる。 (1) 現地調査: 2014年7月と12月にラオス・ルアンナムタ県、2014年2月-3月に中国雲南省で現地調査を行った。ラオス・ルアンナムタ県ではチベット・ビルマ諸語であるシダ語およびプノイ語、ミャオ・ヤオ諸語であるランテン語のデータを収集した。シダ語については基礎語彙と基本文例の全体的に収集した。プノイ語については基礎語彙400項目を収集した。ランテン語は予備的なデータ収集にとどまっているが、録音資料を作成した。中国雲南省ではチノ語悠楽方言と補遠方言の調査を行った。悠楽方言は自然発話の書き起こしを中心に、補遠方言は基礎文例の補充を中心に行った。今後これらのデータの整理・分析を進めていく。 (2) 学会発表: 学会発表としては5件行った。2013年5月にタイ王国チュラロンコン大学で行われた第23回Southeast Asian Linguistic Societyにてチノ語悠楽方言の借用語について、7月に京都大学人文科学研究所にて行われた第1回TB+会議にてチノ語悠楽方言の名詞句構造について、8月にワシントン大学で行われたLFK Society Young Scholars Symposiumにてチノ語方言の摩擦音の由来について、9月にオーストラリア国立大学にて行われた第19回Himalayan Languages Symposiumにてゲランホ・アカ語の格標示について、2014年1月に立教大学にて行われた第1回TB+OC研究集会にてチベット・ビルマ諸語の音韻構造について、発表を行った。 (3) 論文発表: 『神戸外大論叢』第64巻3号にチノ語悠楽方言の形容詞の特徴に関する論文を掲載した。このほかチノ語の摩擦音に関する論文を現在投稿中である。
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