本研究は中国・ラオス・ミャンマーの国境地域で話されるチベット・ビルマ諸語の現状を現地調査し、その言語データの記述・分析を行った上で、これらの言語を話す人々が歴史的にどのように接触し、また移動していったのかを探るものである。具体的には中国で話されるチノ語・アカ語、ラオスで話されるシダ語・プノイ語を調査した。その結果、チノ語の諸方言の歴史的変化の詳細が判明した。またデータ分析をさらにつめなければならないが、おそらくチノ語の補遠方言とアカ語ゲランホ方言、チノ語悠楽方言とラオスのシダ語が歴史的に近似した構造を持っており、シダ語はおそらくチノ語と分化した後にラオス側へ移動したのではないかと推定される。
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