研究課題
本研究の目的は、ホジェン語を含むツングース諸語の接触・借用関係を明らかにし、言語接触による言語変化のプロセスの解明に迫るため、資料が少なく解明の遅れている「ホジェン語」について、これまでに出版されたテキスト及び実際にフィールド調査によって得られた「音声データ」「映像データ」に基づき「ホジェン語テキストコーパス」を構築し、それに基づいてホジェン語の文法記述を進めることである。 具体的には、 (1)過去に記録されたアナログビデオテープによる録画映像のデジタル化を行い、過去に記録されたDATによる録音音声や、デジタルビデオテープによる録画映像をコンピュータで処理できるように加工し、音声を抽出してホジェン語テキストの文字化作業を行った。 (2)これまでに出版されたホジェン語テキストを収集し、コンピュータによりテキストを入力して電子データ化を進めた。 (3)平成23年8月-9月に、ホジェン語話者の居住地である中国黒龍江省同江市街津口郷、八岔郷においてフィールド調査を実施した。ホジェン語話者との面接調査では、語彙調査、形態論と統語論にかんする聞き取り調査、複数の話者による会話の録音・録画を行い、新たなホジェン語音声データおよび映像データを収集した。本調査では、合計約20時間分の録音データおよび約4時間の録画データが得られた。また過去に採録したホジェン語テキストの文字化作業を行い、話者の助力を得て確認作業を行った。その一部について形態分析を行い、研究成果として公開した。
2: おおむね順調に進展している
現地調査で得られたテキスト資料は本年度中に聞き起こしをおこない、その一部を研究成果として公開した。残りの部分の形態分析もほぼ終えた状態にあるが、いくかの不明な点が残っている。この点については今後の調査において確認してゆきたい。
データベース構築にあたり、過去に記録されたアナログ音声データ・映像データのデジタル化を引き続き実施する。また、これまでに出版されたホジェン語テキストの収集、電子データ化を引き続き行う。さらに、フィールド調査を実施し、新たな音声・映像資料を収集し、過去に採録されたテキスト資料の聞き起こし、確認、形態分析作業を継続して行う。
1. 物品費 258,773円:言語学・ツングース諸語等に関する文献、消耗品等(うち平成23年度未使用分8,773円) 2. 旅費 700,000円:中国黒龍江省調査旅費、学会・研究会参加旅費等(うち平成23年度未使用分210,000円) 3. 謝金160,000円:データ電子化業務委嘱、翻訳等 4. その他 100,000円:複写、運搬費等
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北方言語研究
巻: 2 ページ: 183-216
千葉大学ユーラシア言語文化論集
巻: 13 ページ: 131-154