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2011 年度 実施状況報告書

スケール構造の普遍性―日英語の数量表現を通じて―

研究課題

研究課題/領域番号 23720220
研究機関大阪医科大学

研究代表者

南 英理 (田中 英理)  大阪医科大学, 医学部, 講師 (40452685)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード度量句 / 程度副詞 / 変化動詞 / 動作動詞 / スケール
研究概要

平成23年度は、動作動詞と変化動詞に関して、スケール構造の開・閉と度量句、程度副詞の解釈の関係と分布について調査を行なった。(i)英語に関して:裸の度量句とby-度量句の分布は、動詞が動作を表すか変化を表すかによって異なる。by-度量句は、変化を含む場合にのみ許容されるが、裸の度量句は動作動詞、変化動詞の両方で許される。しかし、位置変化を表す場合には、by-度量句は許されない。裸の度量句とby-度量句の分布は、形容詞の絶対的解釈と差の解釈と対応しており、by-度量句は、差の解釈のみを許す。したがって、動作動詞と位置変化動詞は差の解釈を持たず、状態変化動詞のみが差の解釈を持つと言える。(ii)日本語に関して:日本語は、英語のように裸の度量句 vs. by-度量句のような語彙的な対立はなく、度量句はすべて裸のままで用いられる。これに対して、程度副詞は、差の解釈が許される場合にのみ生じるものがある(「少し」)。日本語では、動作動詞・変化動詞のどちらもこのような程度副詞を許容する。英語では、by-度量句の生起が差の解釈と連動していたのに対し、日本語では、差の解釈を(形容詞では)強要しているように見える程度副詞が動作動詞・変化動詞のどちらにでも生起する、という違いがあることがわかった。(iii)スケールの開・閉について:スケール構造の開・閉は、スケールの始発・終点が閉じているかどうかで4種類が考えられる。さらに、始発が0であると考えられる場合(位置変化動詞や動作動詞)と、それ以外の場合(状態変化動詞)がある。上記のような度量句や程度副詞の分布から、英語は、始発が0であるかどうかによって度量句の分布が決定されているが、日本語は、始発からの計測であれば、それが0かどうかを問題にしない意味構造を持っている可能性があることが示唆される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度は、形容詞における度量句、程度副詞の分布とその解釈を参考に、日英語の動作動詞、変化動詞における度量句、程度副詞の分布を調査することができた。したがって、平成24年度以降、その他の文法カテゴリ(前置詞)の調査を行い、本年度の結果と併せて分析するための土台をつくることができたという点で、本年度の研究は概ね達成できていると考える。

今後の研究の推進方策

今後の研究は、前年度までの成果を踏まえて、(i)英語における前置詞句と度量句、程度副詞の分布を調査すること、(ii)統語構造とスケールの意味論の関係についての理論的分析を行うこと、を中心に行なっていく。前年度の成果と合わせて、学会発表することを目指す。

次年度の研究費の使用計画

・学会発表旅費・大規模コーパスの使用料(英語コーパス)・電子ジャーナル使用料・英語ネイティブスピーカーへのインフォーマント協力謝礼なお、次年度使用額の97085円は、学会発表旅費が開催地等の関係で当初想定よりも低く抑えられたため、繰り越した。また、大規模コーパスの契約数を増やす必要があり、この費用としてあてることを考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 英語の段階的変化述語と差の解釈2011

    • 著者名/発表者名
      田中英理
    • 雑誌名

      意味と形式のはざま

      巻: 1 ページ: 59-72

URL: 

公開日: 2013-07-10  

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