研究課題/領域番号 |
23720220
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
南 英理(田中英理) 大阪医科大学, 医学部, 講師 (40452685)
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キーワード | 程度副詞 |
研究概要 |
前年度,日本語の程度副詞の分布についての調査を行ったが,程度副詞の種類を十分に網羅できていないと考えられたので,本年度は,日本語の程度副詞の分布について,先行研究を参考にして,(i)共起する動詞の種類、(ii)表しうる解釈という観点から予備的な調査を行った.当初,英語の前置詞における程度副詞,数量表現との共起関係も調査予定であったが,次項に述べる理由により,調査は翌年度以降に持ち越すこととなった。 本年度の予備的調査では、以下のことが明らかになった。日本語の程度副詞は、程度を述べるものと量を述べるものに分けることができる(森山(1985))。このうち、程度も量も表すことができるものと、程度のみ表すものがあるとされている。佐野(2008)は、比較構文や変化動詞と共起する、程度や量の「差」を表すことができる程度副詞を含めて考察し、程度と量のみを表すことができる程度副詞はあっても、程度差や量差のみを表す程度副詞は存在しないと述べている。 前年度までの成果では、英語の位置変化動詞と状態変化動詞では、変化の量を表す数量句が裸の数量句かby数量句となるかでことなり、by数量句は差を表す場合にのみ可能であることを見た。そこでは、差の解釈は基本となるmeasure functionから差をとるmeasure functionへの変換を想定し、差をとるmeasure functionに選択されている数量句が差を表すことができると分析した。日本語の程度副詞の分布においても、差のみを表す程度副詞が存在しないのであれば、「差」の解釈が二次的に生じるという分析が正しい方向にあることを示す可能性があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度7月上旬にて,出産・育児にともなって休業し,これ以降の研究継続が不可能となったため.
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今後の研究の推進方策 |
本年度に行う予定であった調査を平成25年度に行い,25年度の計画は26年度(産前・産後・育児休業による延長を申請)に行うこととする. 平成25年度は,英語の前置詞と程度副詞,数量表現に関する調査を,インフォーマント調査及びコーパスによる調査にて行う.また,それをもとに,理論的な考察を行う.また,前年度,予備的調査を行った,日本語の程度副詞の分布について,理論的な考察を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
(i) インフォーマント調査の謝礼 (ii) コーパス使用料 (iii) 学会参加(日本言語学会,日本英語学会) (iv) 研究資料の購入,借り入れ(学術書,オンライン雑誌論分購読,論文等のコピー・郵送代)
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