研究課題/領域番号 |
23720232
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
家入 博徳 國學院大學, 文学部, 講師 (20586507)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 仮名 / 文字・表記意識 / 仮名表記史 / 仮名自筆史料 / 南北朝期 |
研究概要 |
本研究は、調査が進んでいない院政期以降の仮名自筆資料の分析による、文字・表記意識の実態および通時的な傾向の解明を目的としている。本年度は本研究対象資料のうち、出版されている写真資料を収集するとともに、未出版の資料の実地調査・撮影・焼付け等を行った(根津美術館、静嘉堂文庫、静嘉堂文庫美術館、慶応大学付属図書館)。また、収集した資料は、適宜翻字およびデータベースを作成し分析を行った。分析から明らかになったことを、まず、平成23年6月に「伝西行筆『山家心中集』の表記」の表題で論文発表を行った。本論では、藤原俊成監督書写本の表記の実態がどのような表記上の特徴を持つ書写者によって制作されていたのかを書写者別に分析する必要があると判断し考察を行った。次に、平成23年11月26日(土)に国語研究会(國學院大學)において「冷泉為相の表記」の表題で口頭発表を行い、質疑応答をもとに改良を加え、平成24年3月に「冷泉為相の表記」の表題で論文発表を行った。本論では、院政期以降の仮名表記の実態を解明する一環として、書写者が明らかであり、ある程度現存数が確認できる冷泉為相の仮名自筆資料をもとに考察を行った。さらに、為相の表記の実態分析を通して、「伝為相筆」とされている伝承書写本との異同について考えることにした。現在もなお、自筆か否かについて意見が分かれる資料も多く存在していることから、本論を通して資料の自筆性についても分析し言及する必要があると判断し考察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において調査対象となる資料のいくつかは写真資料が出版されているので購入収集をした。また、同時に、本研究対象資料の実地調査・撮影・焼付け等を行い資料を収集した。なお、本年度は(金沢文庫、根津美術館、静嘉堂文庫、静嘉堂文庫美術館、慶応大学付属図書館)において調査を行った。さらに、収集資料を総合的に集約し、さまざまな角度から分析・研究できるように、データベースを作成した。具体的には、本文を漢字・仮名の区別ができ、さらに異体仮名で翻刻する作業を行った。ただし、データベース作成には予想以上の時間がかかり、予定の量は達成できなかった。したがって、次年度において作業従事者を使用することも検討している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度同様、今後の研究においても出版されている写真資料の収集を中心に、未調査資料の実地調査・撮影・焼付け等を行う予定である。また、それらの調査資料のデータベースを作成、当時の文字・表記意識を分析し、実態を明らかにした上で研究成果を口頭発表・論文等で公表する予定である。なお、本年度はデータベース作成に予想以上の時間がかかったため、次年度においては作業従事者を使用することも検討している。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度も本年度同様、出版されている写真資料の収集をするとともに、未調査資料の実地調査・撮影・焼付け等を行う予定である。したがって、出版されている写真資料を中心に図書を購入する。また、資料所蔵機関に依頼した資料の複写費・マイクロフィルムからの焼付費、撮影費として使用する。なお、次年度は二ヶ所において遠方の調査を行う予定であるため旅費を使用する。なお、作業従事者を使用する場合は人件費として使用する。
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