研究課題/領域番号 |
23720233
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研究機関 | 東京家政学院大学 |
研究代表者 |
内田 宗一 東京家政学院大学, 現代生活学部, 准教授 (30314339)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国語学 / 国語学史 / 文字史 / 表記史 / 近世 / 国学 / 仮名 |
研究概要 |
本研究は、近世の日本語表記について、当時の人々の有していた表記意識と資料に現れた表記実態の両面から分析を行い、両者の相関の様相を考察しようとするものである。具体的なテーマとして掲げた、国学者の日本語表記に関する問題、近世出版文化と筆耕に関する問題という2点のうち、平成23年度は前者についての考察を主たる目的として、以下のとおりの活動を行った。1、鹿持雅澄『万葉集古義』稿本(高知県立図書館蔵本)における使用仮名字体についての調査を進め、古代を志向する復古的な表記意識にもとづく仮名の用字がそこに認められることを明らかにした。2、鹿持雅澄の著述の収集・読解を進め、上記1のような表記実践の背後にある雅澄の文字観・表記意識や、先行する国学者からの影響関係について調査を行った。3、近世国学者の日本語表記に関する先行研究を収集し、研究の現状を把握した。4、近世国学者の著述の影印・コピー・活字翻刻本等を収集し、その内容について検討を行った。その結果、草鹿砥宣隆『古言別音抄』(名古屋市立鶴舞中央図書館蔵本)など、国学者が自らの著述において古代を志向する日本語表記を実践したと捉えられる新たな事例が見出され、復古的な表記意識にもとづく表記の実践が、当初把握できていたよりも広い範囲の国学者たちによってなされていたことが明らかになるとともに、国学者間でのこうした表記の広がり方や相互の影響関係を論ずるための手がかりを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
近世国学者による復古的な表記意識にもとづく表記の実践のありようを明らかにするための調査が着実に進んだ点、古代を志向する日本語表記の実践例のさらなる発見があったことにより国学者相互間での影響関係の考察に向けて新たな展望を得られた点は評価できる。ただし、その一方で、平成23年度の調査資料が主に影印公刊やマイクロフィルム化されている資料に偏り、当初計画していた所蔵機関へ赴いての原資料調査が実行できなかった点、ならびに研究の成果が論文・学会発表という形で発表される段階にまで至らなかった点については、研究計画の遂行が不充分であったと言わざるをえない。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、国学者の日本語表記に関する問題について資料調査・収集を行う。近世国学者の著述の収集にあたっては、所蔵機関へ赴いての原資料調査を積極的に行い、より幅広い資料に目配りした上で考察が行えるようにする。具体的には、平成23年度の実績を踏まえ、鹿持雅澄・草鹿砥宣隆を中心に、本居宣長よりも後の時代に活躍した国学者を主に取り上げ、宣長からの影響関係という観点に注目しながら分析を行う。また、これと並行して、近世出版文化と筆耕に関する問題についても、当初の計画に従い、曲亭馬琴およびその周辺を主たる対象として設定した上で、資料の調査・収集を行う。活字翻刻本・影印本として公刊されているものも含めて馬琴の日記・書簡・草稿類を収集し、資料の読解・調査を進めるとともに、原資料の閲覧・調査もあわせて必要と判断されるものがあった場合は、資料調査に赴く。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度には所蔵機関へ赴いての原資料調査が実行できなかったため、その分の研究費を平成24年度請求分とあわせて使用する。主な用途としては、調査旅費および文献複写代、日本語学・近世文学資料に関する書籍の購入費として使用することを計画している。具体的な調査先としては、豊橋市中央図書館(羽田八幡宮文庫旧蔵本)、浜松市立賀茂真淵記念館(岡部文庫)、本居宣長記念館、天理大学附属天理図書館等を計画している。
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