研究課題/領域番号 |
23720234
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研究機関 | 広島経済大学 |
研究代表者 |
小川 俊輔 広島経済大学, 経済学部, 准教授 (70509158)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 方言学 / 言語地理学 / 地理言語学 / 日本語学 / キリシタン語彙 / キリスト教用語 / 渡来語 / 日系南米移民 |
研究概要 |
【本研究の目的、問題意識】本研究の目的は、「渡来語」の緊急調査とデータベースの構築である。「渡来語」とは16世紀以降に西欧から輸入された外来語のことで、キリスト教用語と一般の外来語を含む。各地で受容され土着化した「渡来語」は、今日、「伝統的方言語彙」となっている。しかし、記録されぬまま消滅の危機に瀕しており、早急な調査・記述が必要である。【平成23年度の主な研究成果(4点)】《1.全国郵送調査のための調査票の完成》本研究の根幹をなす調査票が完成した。試作した調査票を研究会で発表・紹介し、参加者からの助言を踏まえて改訂を加え最終版を作成した。《2.ボリビア多民族国サンファン日本人移住地における聞き取り調査の実施》戦前・戦後を通じ、長崎、福岡から多くのカトリック信者が新天地を求めて南米へ渡った。研究代表者は、2012年の2月14日から29日まで、サンファン日本人移住地での聞き取り調査を実施した。調査の結果、移住者は数多くの渡来語(特にキリスト教用語)を記憶しており、一部の語は彼らのアイデンティティと深く結びついていることが明らかとなった。《3.九州地方における「天国」の受容史の記述》九州地方における「天国」の受容史を、地理言語学の手法を用いて明らかにした。渡来語Paraisoを翻訳した「天国」の受容には、宗教差(人々の帰依する信仰)、地域差、場面差のあることが分かった。《4.Oratioの受容にかんする社会・地理言語史の記述》渡来語Oratioは「祈り・祈祷文」を意味するキリスト教用語である。Oratioは今日においてもその命脈を保ち、芸術家による利用や、国家・地方自治体による保存の対象となっている。その消長には、キリスト教の受容/禁教・迫害/復活等の歴史、人々のキリスト教に対する意識の変遷などが深く関わっていることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【研究計画】 交付申請書に記した研究計画の概要は次のとおりである。(1)調査票の作成(H23年度)、(2)調査票の印刷、製本、郵送(H24年3月)、(3)返送された調査票の整理、電子化(H24年4月~)、(4)調査結果に基づく論文または口頭発表(H24年4月~)、(5)未返送の方への催促状の送付(H24 年8月)、(6)調査結果の公表(H26 年3月)【平成23年度の実施状況】 上記の研究計画(1)-(6)のうち、(3)-(6)は平成24年度以降の計画である。平成23年度の計画については、予定どおり(1)を終了した。(2)についても準備できているが、2011(平成23)年3月11日に東日本大震災が発生したため、調査票の発送を見合わせた。「概ね順調に進展している」としたのは、以上の理由による。
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今後の研究の推進方策 |
上記【研究計画】欄に記した(2)-(6)に沿って研究を進めていく。また、交付申請書に記したとおり、平成24年度は、7月下旬にウイーンで開催されるVIIth Congress of the International Society for Dialectology and Geolinguistics (SIDG)に参加する予定である。郵送調査法、データベースの作成法について海外の研究者と意見交換をおこない、本研究の推進に活用したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記のとおり、\331、513の繰越金が発生した。これは主に2つの理由による。 1つは東日本大震災の発生により、調査票の発送を次年度に繰り越したからである。「被災直後に被災地へ調査票を送付することは不躾である」と感じられ、発送がためらわれた。しかし、速やかに被災地のことばを記録すべきとの立場もあり、また、文化庁もその方向で委託調査・研究を進めていると耳にした。意を決し、頃合いを見計らって調査票を発送したい。 いま1つは、購入予定額30万円程度としていたソフトウエアが大幅に値を下げ、これを10万円弱で購入できたからである。 平成24年度以降は、交付申請書に記載した計画どおりに研究を実施していきたい。
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