研究課題/領域番号 |
23720237
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研究機関 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
研究代表者 |
朝日 祥之 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 時空間変異研究系, 准教授 (50392543)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交流 / イギリス / ロシア / 国際研究者交流 / イギリス |
研究概要 |
本年度実施した調査研究は,(1)既存する音声資料の収集(2)これまでの研究成果の公表,の2点を実施した。(1)既存する音声資料の収集・探索とインタビューの実施国内外に所蔵が確認されている樺太方言の音声資料の情報収集にあたった具体的には,日本サハリン同胞交流協会,北海道立北方民族博物館,北海道大学アイヌ・先住民研究センター,二風谷アイヌ文化博物館である。いずれの機関に直接でかけていき,関係者から資料利用の条件,利用許可申請等を確認し,利用手続きを進めた。今年度は戦後日本に引き上げてきたウイルタ人,ニヴフ人を対象とする音声資料,ならびに1990年代から日本に永住帰国を果たした日本人による音声資料,映像資料である。収集した資料については一部,書き起こしを行った。日本に引き上げてきた樺太方言話者に対する調査も北海道札幌市で実施した。2003年以降,サハリンで調査を実施したときの話者が2010年に永住帰国したためである。これまでの同様の調査を実施し,データ収集にあたった。(2)これまでの研究成果の公表これまでの調査研究の成果で本研究課題に関連する事柄について,国内外の学会,会議で研究発表を行った。国内では北海道方言研究会,移民エスニック文化研究所主催の研究会,海外では,方言学の方法論に関する国際会議(METHODS)で,それぞれ研究発表を行い,参加者との意見交換を行った。この他にも,関係者から既存はしているが知られていない音声資料の情報の収集を行った。その中で,映画学校の制作映画の素材テープで該当するものが発見され,その情報の入手に向けた調整に着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存する音声資料の収集が本研究課題の主たるテーマである。その資料を発掘し,収集に関する同意を得たことは研究を進める上では意義あることである。もちろん計画していた現地調査は,私的理由により実現できなったが,全体的に見れば研究全体は順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
対象となる音声資料のデジタル化,文字化を行うのが最優先の課題である。これとともに現地での継続調査も実施したい。また,個人が収集した樺太方言に関する音声資料でまだ把握できていないものも存在すると思われる。その意味でも音声資料の収集を継続的に行っていきたい。平成23年度中,家庭の事情(子供の出産)があり,予定されていた現地調査が実施できなかった。次年度はより時間ができると考えられるため,現地調査を実施したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度では34万円の研究費が残った。この残金は現地調査に利用する予定であった。次年度は現地調査で利用したい。また,次年度はこの他にも北海道,韓国での現地調査,イギリスでの資料調査もそれぞれ実施する予定である。資料整理も進める必要があるので,文字化のための資料整理補助者に対する謝金としての支出を予定している。
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