研究課題/領域番号 |
23720240
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研究機関 | 沖縄国際大学 |
研究代表者 |
小嶋 賀代子(下地賀代子) 沖縄国際大学, 総合文化学部, 講師 (40586517)
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キーワード | 琉球語 / 水納島方言 / 危機言語 / 多良間方言 |
研究概要 |
本研究は、消滅の危機に瀕していると言われている琉球語(琉球方言)の中でも極めて危機的な状況にある水納島方言を対象とし、同方言の包括的な記述研究とテキストの作成を目指すものである。本研究における具体的な作業内容は以下の通りである。 (1)基礎語彙調査を行い、水納島方言の音韻体系を明らかにする。 (2)水納島方言の文法体系(形態・統語)を網羅的に記述する。また、語りや会話など、水納島の談話テキストも作成する。 平成24年度は、5月、6月、8月、9月、11月の計5回、宮古島市平良の高野集落および多良間島への臨地調査を行った。当該年度も、これらの調査において各地在住の話者の方々の協力を得ることができた。調査内容について、まず名詞の格形式について、前年度の10月に琉球大学で行った研究会発表(沖縄言語研究センター)からさらに調査・研究をすすめていき、その成果を『沖縄国際大学日本語日本文学研究』に投稿、掲載された(10月1日発行)。格をはじめ、水納島方言の文法に関する先行研究はほとんど皆無であり、琉球語研究における本稿の意義は言うに及ばないだろう。 また、前年度から継続していた基礎語彙調査票を用いた語彙調査を一通り完了し、現在その分析・考察を進めている。多良間島方言との音韻上の差異として先行研究に取り上げられている事項―中舌母音ウムラウト[i]が現れない、鼻音[n]と[m]を音韻上区別しない、側面音[l]を用いない、など―を確認した他、親族名称の語彙体系が一部多良間島のそれとはことなっていることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度の上半期から積極的に臨地に赴き調査を実施してきたが、台風の接近や急な予定の変更などにより当初計画していた回数の調査は行うことができなかった。そのため、昨年度の遅れを完全には取り戻せておらず、以下の数点にかんして、目標達成には至れなかった。 (1)基礎語彙調査は終了したものの、音声の分析と音韻の体系化は現在進行中である。 (2)動詞について、テンス・アスペクト、ムードなどの文法的カテゴリーに関する形式とその用法の調査がまだ中途である。 (3)形容詞について、動詞と同じく各活用形の文法的な意味と用法の記述研究を行い、その体系化を目指す予定であるが、動詞の調査が終了していないためまだ本格的な調査に移れていない。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となるため、水納島方言の臨地調査は夏期休暇中までに集中して行い、終了させる。具体的には、音韻体系のまとめと並行に動詞にテンス・アスペクト、ムードなどの各文法カテゴリーに関する調査とまとめる。そして、形容詞の基本的な活用形式の調査に着手し、その結果をまとめる。年度後半はこれまでの研究成果のとりまとめ、また談話資料のテキスト化の作業を中心に計画を進める。なお、必要に応じて1、2回の補足調査も行う。 そして、まとめた調査結果を沖縄県内で開催される研究会や学会の他、日本語学会や日本文法学会などの全国大会で発表する。また、『日本語の研究』などの学術雑誌への研究論文の投稿も行う。そして、冊子およびCD-ROMの形で成果を公開、刊行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度、前々年度と同じく、まず臨地調査のための旅費としての使用が主となる。また、学生アルバイトを雇い、文字化した言語資料のタグ付けを行わせるほか、これまでに得られた関連資料のデータ入力作業を業者に委託する。また、研究成果公開のための冊子及びCD-ROMを制作する。
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