研究課題/領域番号 |
23720241
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研究機関 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
研究代表者 |
金 愛蘭 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 時空間変異研究系, プロジェクト非常勤研究員 (90466227)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 談話構成機能 / 通時コーパス / 外来語 / 新聞 / 文章 / 基本語 / 基本語化 |
研究概要 |
本研究は、20世紀後半の新聞記事を資料として、抽象的な事柄を表す外来語が基本語化していく過程を、歴史的・計量的に記述し、その要因を文章論的な観点から明らかにするものである。具体的には、まず、自ら設計・作成した通時的な新聞コーパスによる語彙調査の結果を整備し、その結果から20世紀後半に基本語化した抽象的な外来語のリストを作成する。次いで、上記コーパスを利用して、外来語とその類義語の用例データベースを作成し、記事別に談話構成機能の分類を行う。最後に、それらの調査結果をもとに、20世紀後半の新聞記事における「抽象的な外来語の基本語化」現象の要因を、文章における談話構成機能の観点から明らかにする。今年度は、まず、上記自作の通時的新聞コーパスを、言語学的に十分な精度の語彙調査に耐えられるよう、調査単位を整え、また、紙面情報なども付加して、タグ付きコーパスとして整備した。タグ付けは、見出しや本文などがわかるよう複数のタグを用意し、作業はアルバイターを雇用して行った。次に、上記コーパスの語彙調査の結果をもとに、20世紀後半に基本語化したと考えられる基本外来語を抽出し、そのリスト化の検討を行った。さらに、得られた外来語について、本研究の対象となる抽象的な意味を表すと判断されるものについて検討した。最後に、全文検索システム「ひまわり」を用いてKWICデータを作成し、文章(記事)の中で、外来語が、具体的にどういった機能(主として語彙的結束性にかかわる再叙の機能)を果たしているかについて、予備調査を行った。その結果、共時態の文章-連体修飾節構造の中と指示語句の中―において、外来語は、前の叙述を「要約」したり「名づけ」たりする「変容」が数多くみられることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書の計画通り、今年度分を順調に進めているが、予算関係(震災により一部研究費の交付が遅れる)でタグ付作業のスタートが当初より若干遅れ、計画の7割程度にとどまっている。次年度に完成させる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、まず、現在7割程度終わっているタグ付作業を終了させる。また、通時的新聞コーパスを利用して、外来語とその類義語の用例データベースを作成し、記事別に談話構成機能の分類を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に使用する予定(繰り越し)の研究費は、タグ付作業のためのアルバイター謝金として使用する。また、次年度交付額(新規)については、外来語および類義語の用例データベース作成のためのアルバイター謝金、研究打合せ・資料収集および学会等での研究成果発表のための旅費、関連書籍のための消耗品費に使用する予定である。
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