本研究は、20世紀後半の新聞記事を資料として抽象的な事柄を表す外来語が基本語化していく過程を歴史的・計量的に記述し、その要因を文章論的観点から明らかにするものである。自作の通時的新聞コーパスを整備し外来語とその類義語の用例データベースを作成した上で、文章中の外来語の機能(語彙的結束性にかかわる再叙等)とその通時的変化について調査した。連体修飾節構造及び指示語句の中において外来語は「(要約や名づけ等の)とらえ直し」機能を獲得・拡大させたことを明らかにし、20世紀後半の新聞にみられる「抽象的な外来語の基本語化」現象が外来語の文章構成機能の獲得・拡大を言語内的な要因として生じている可能性を提示した。
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