研究課題
本研究は、英語と日本語の節比較構文を取り上げ、統語と意味の接点を探ることを目標とした。節比較構文とは、John invited more men than Bill invited.のように、than補部(日本語では、「~より」の補部)に「節」をとるものを指す。本研究では、こういった節比較構文と、Subcomparativesと呼ばれる特殊な節比較構文 (John invited more men than Bill invited women.といった、than(もしくは「~より」)の補部に完全文の形をとる節比較構文)の言語データを中心に観察した。特にSubcomparativesでは、英語においても日本語においても、通常の節比較構文よりも限定的にしか生じず、容認可能とされる文に限りがある。本研究では、このSubcomparativesがどのような条件下で容認可能となるのかを調査するため、構文内に現れる段階形容詞の-er形や数量をあらわすmore等(これをDegPとする)と、VPの示すイベントとの関わりに注目し、Subcomparativesの意味解釈には、イベントの測量が関わっていることを明らかにした。また、この観察をもとに、Subcomparativesの比較節では、通常の節比較構文における比較節とは異なり、DegPが副詞として生じることを提案した。そして、これら2種類の構文に異なった統語構造を提案することで、それぞれの構文が持つ統語的特徴が捉えられることを示し、本研究の妥当性を証明した。
すべて 2013
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Osaka University Papers in English Linguistics
巻: Volume 16 ページ: 207-222