研究課題/領域番号 |
23720253
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
有光 奈美 東洋大学, 経営学部, 准教授 (00408957)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 対比 / 丸や球 / 歪みや凹み / 否定 / 強意語と強調語 / 段階性 / 完全性 / 死 |
研究概要 |
英語と日本語の日常言語における対比のカニズムを解明しようとしている。23年度は言語だけでなくシンボリックな形状にも注目した。自然界や歴史的建造物や模様の中には、言語を超えた意味が存在する。強意語の意味変化のメカニズムの一部が対比の認知的性質の違いに基づいていることを中心的に扱った。対比を構成する言語表現は、意味的に反対であるという対称性だけでなく、非対称的意味拡張をすることがある。対比における非対称性を視野に完全性と強調語への意味変化のメカニズムを論じた。矛盾関係の対比であるdead とaliveではdeadが強意語になる。死が生の極限にある生命の完全な無であるため、完全性だけでなく程度の甚だしさも表す。反対関係のcoldとhotではcoldが完全性を表す強意語になる。Jing-Schumidtの説く生命維持を脅かす「恐ろしさ」関連の否定的感情表現は、尺度上に終点がないため完全性ではなく程度の甚だしさを表す。「欠けたり歪んだりした形状」等と照らした「丸」の持つ完全性の動機づけも扱った。形状、数字、数量から、量と質の関係までを含めて論じ、丸以外にも「二律背反」「表裏一体」「三つ巴」「三方塞がり」「四方八方」等の表現、雪の結晶(6回対称性)、オオマツヨイグサ(4回対称性)、アカヒトデ(5回対称性)、モミジアオイ(5回対称性)、ヤツデヒトデ(8回対称性)、アカニチリンヒトデ(12回対称性)、クチナシ(6回対称性)、曼荼羅、巴紋、アラベスク、陰陽図、正四面体、正六面体、正多面体等の自然物やシンボル的要素が持つ印象と言語との関係も対比、否定性、強意語等を手掛かりに引き続き考えたい。ある形状(形状表現)が他の形状(7角形や11角形、楕円や凹みや歪み等)よりも人間の認知基盤においてより基本的であり望ましく、安定した形状や特定の数字も対比に根差した言語表現の意味変化の認知基盤と考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
思ったように作業が進んでいない。形状表現について、もっと大量のデータを収集していきたい。その後、撮像に載せられるような形状を選択し、実験的な裏付けで、本研究をまとめたい。自然界の形状や、歴史的・文化的形状に視野を広げることができた1年であった。安定的でポジティブな価値を持つ形状というものが、言語・文化を超えて存在しているのではないかと考えている。日本フランス語学会談話会で貴重なコメントを数々得たので、それを反映させて今後の研究にいかしていきたい。当初、「生死」の視点が強意語と強調語の基盤の一つとなっているのではないかと考えていたが、それに拘泥しないほうがいいと思うに至った。また、「望ましさ」という視点を導入することで、意味のゆらぎの一部を説明できるかもしれないと教えられた。撮像を目指して精進していく。
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今後の研究の推進方策 |
(1)言語における形状表現について、いっそう文献の収集を進めていく。(2)言語を超えた自然界の形状、歴史的・文化的形状についても、収集していく。(3)安定したポジティブな価値を持つ形状の意味について考察する。(4)言語と形状ぞれぞれにおいて、対比を設定し、撮像のタスクを作っていくことを目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)図書や資料の購入を行う。(2)秋には学会発表を行う。(3)わかってきていることについて、紀要や学会論文等にまとめていく。(4)撮像のタスクを作成していく。(5)タスクの作成については、アルバイトを雇用する可能性がある。次年度への繰り越しが生じた理由は、自然界の植物、生物の形状や対比とその意味という視点まで言及したところから、その先が思うように研究が進捗しなかったためである。次年度への繰越金の使用によって、さらなる図形関係の書籍の購入、自然界や人工物におけるビジュアルメッセージと意味解釈に関連する先行文献の収集、数字と文化的意味との相関に関する書籍の購入、データ整理のアルバイトの雇用等に使用していくことを計画している。前年度、図形、ビジュアルメッセージ、数字関連の書籍は十分に集められなかったので、引き続き、探して購入していく。また、撮像のタスクに活用できるような「図形そのもの」についても収集を続けていく。
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