研究実績の概要 |
言語表現を対象とした研究について記述レベルで推進できた。「On Semantic Shifts to Intensifiers from the Viewpoints of Negativeness and Completeness」 2012年が中心的貢献である。Completenessに関わる形状表現が諸言語で強意語になりうる動機付けは、本能的な生物の生存目的や進化の目的と結びつくと考えるに至った。なぜ自然界の特定の形状表現・視覚的刺激に安定や好ましさや望ましさを感じるかという問題設定が不可欠と気付いたのはBarrow (1995)のadaptive featuresの視点もある。言語の意味変化も、人間の進化・適者生存という本能的要因と、学習や経験から得る後天的要因との融合的要素が背景にある。「英語広告表現におけるメタ言語否定・意味反転・共有知識からの逸脱に関するズレの階層性 ―言語表現と非言語表現の接点を含めた意味伝達―」2013年 、「日本語と英語における非明示的否定性と擬似否定性の意味的解釈―「伏」「倒」「節」「省」「歪」「曲」「既」等に関する対照的考察―」 2014年、「見込みの有無に関する表現の意味理解とその動機付け―英語における “a slim chance” と “a fat chance”―」2014年、「命名と評価に関するカテゴリー化の視点からの分析―商品・絵画・音楽、そして「普通」のプロトタイプ―」 2014年等論文としてまとめた。口頭発表では2013年「Irreality, negative meanings and intensifiers」19th ICL, Switzerland、 2014年「Pushing the boundariesに関わる強意語の動機付けについて」日本言語科学会等で発表しており、今後論文の形にして国内外に発表する。
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