最終年度(平成25年度)では平成23、24年度で収録した談話資料を用いた分析・考察を引き続き行い、研究成果の発表・公開を実施計画通りに行った。研究成果の発表・公開は、日本語教育専門家だけでなく、看護・介護の世界で外国人の指導に携わる医療・介護の専門スタッフやボランティアにも広く周知できるよう図った。 <資料分析・考察>平成23、24年度は主に看護師の談話を用いて分析・考察を進めたが、平成25年度ではその方法論を応用し介護スタッフの談話の分析・考察を行った。研究結果は本課題の研究成果報告書にまとめた。これにより研究目的「専門日本語教育の基盤研究の充実」を達成した。 <教材作成・考察>平成23、24年度は資料の収録及び分析・考察を行い、研究発表を行ってきた。平成25年度は研究結果を現場の日本語教育により具体的に還元する方法を考え、研究結果を応用した教材を作成し一般公開することとした。これまでの学術的な研究成果を談話分析の専門家ではない現場の関係者が応用できるよう教材を作成し、ホームページ上に公開した。病院・施設ごとに異なる点があることも考えられることから、教材はWordファイルでも公開し利用者が自由に修正できるようにした。 <教材作成方法の発表>談話分析の研究結果を学術的にまとめるだけでなく、研究結果をどのように教材作成に応用するのかといった観点から「看護師談話の分析を応用した教材作成の試み―引き継ぎ報告「申し送り」を対象に―」というタイトルで研究発表を行った。教材作成の過程を明らかにすることで、談話研究と現場での日本語教育をつなぐ方法論を提示することができた。 <研究成果報告書の作成>外国人看護師・介護福祉士に向けた専門日本語教育の基盤研究として研究成果報告書をまとめ、研究協力機関の病院・介護施設だけではなく、外国人看護師・介護福祉士の指導にあたっている日本語教育関係者にも配布した。
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