研究課題/領域番号 |
23720272
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研究機関 | 宮城学院女子大学 |
研究代表者 |
澤邉 裕子 宮城学院女子大学, 学芸学部, 准教授 (40453352)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ブレインストーミング / カードゲーム / 日本語教育 / 協働学習 |
研究概要 |
本研究は、ブレインストーミング法を取り入れたカードゲームが日本語学習者のストレス(言語不安)軽減に与える影響について検討することを目的としている。近年、日本語教育の現場では学習者同士の協働的な学び合いが盛んに行われるようになっているが、協働学習場面における日本語学習者の情意面に関して調査した研究は管見の限り多くない。ブレインストーミング法を取り入れたカードゲームは、これまで日本語母語話者に対する研究において心理的ストレス軽減の効果が報告されており、同様の効果が日本語学習者に対しても見られれば協働学習において有用なツールとなる可能性が期待できる。平成23年度は協働学習場面において、日本語学習者がどのような言語不安を持つ可能性があるかを明らかにするため、JSL環境及びJFL環境で学ぶ中級クラスから上級クラスに属する日本語学習者92名に対して、既存の第二言語不安尺度の一部を用い、(1)教室内でクラスメートとともに日本語を学習する場面、(2)教室内/教室外で日本人と日本語で話している場面を想定してもらい、不安の種類と程度について調査した。その結果、JFL環境で学ぶ学習者の不安得点はJFL環境で学ぶ学習者のそれと比較して全体的に高い傾向が見られ、特にクラスメートと相互作用をする際に評価を気にする傾向が見られた。一方、JSL環境で学ぶ学習者は日本人との相互作用に対しより不安を感じる傾向が見られた。この結果については2012年3月に開催された韓国日本語学会の学術大会において成果を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本語学習者が協働学習場面において具体的にどのようなストレス(言語不安)を抱えているかについて実態調査を行うことが平成23年度の計画であった。日本語学習者に対する言語不安調査を行う際に、日本国内での調査をもう少し行いたかったが23年3月の東日本大震災の影響で国内の留学生が一時的に激減し、東北地方ではその数が十分に回復していないことにより、当初の計画よりも規模を縮小して計画を遂行せざるを得なかった。それ以外は当初の計画通り順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ブレインストーミング法を取り入れたカードゲームが日本語学習者の心理的ストレスにどのような影響を与える可能性があるかを検証する計画である。日本語中級レベル以上のクラスに属する留学生を対象とし、カードゲームを実施し、その前後の心理状態を測定する。尺度は既存の第二言語不安尺度の一部を使用する予定であり、4月現在研究協力者とともに調査実施に向けて手続きを進めている状況である。平成24年11月頃には調査を終え、分析を開始し、年度内の研究成果発表を目標に研究を遂行していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査の実施に必要な旅費及び協力者に対する謝金、成果発表に係る旅費が主要な経費となる。
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