研究課題/領域番号 |
23720279
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研究機関 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
研究代表者 |
中上 亜樹 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 日本語教育研究・情報センター, プロジェクト特別研究員 (90581322)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 処理指導 / インプット処理 / 効果的な日本語指導 |
研究概要 |
本研究は、日本語教育の現場において、教師の経験や勘に基づき様々な練習が行われていることに着目し、科学的な視点を取り入れた上で、より効果的な日本語指導法について実証的に明らかにし、教育現場への活用方法を提示することを目的としている。 今年度の計画として、本研究で取り上げる「処理指導(Processing Instruction)」において、どのような項目でより大きな効果が期待できるかを検討するため、学習者がインプット処理をする際に用いるストラテジーを明らかにすることを目的としていた。 東日本大震災の影響による日本語学習者の減少で、調査を予定していた機関での実施が難しくなったため、急遽別の機関を探し、国内で2か所、海外で1か所で調査を行うことになった。先方の機関の都合により調査が遅れることになったため、小人数でのパイロット調査を行い、調査方法の再検討を行った。当初の計画では、ストラテジーの使用によって、誤った理解を引き起こす項目を対象に、紙媒体での一斉テストを行い、正解率によってストラテジーの使用を判断することになっていたが、この方法を変更し、実験ソフトで反応時間の長さを測定する実験を行うことにした。一斉テストでは、解答を誤った場合しか対象にならないが、この変更によって、正しく反応した場合でも処理に時間がかかっているかどうかをみることができる。学習者が持つインプット処理ストラテジーの使用を抑制することは難しいと考えられているが、まだ調査が行われていないため、実態が明らかになっておらず、本研究で反応時間を測定し分析することによって明らかにすることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の秋に広島で調査を行う計画であったが、東日本大震災によって直接被害を受けなかったにも関わらず、入学希望者が激減することが夏に分かり、当該機関での調査が難しくなった。 別の機関を探し、現時点では国内で2か所、国外で1か所で調査が可能な見込みである。ただし、急遽、調査を依頼することとなったため、実施機関の学期の都合などで調査が今年度6月から9月にずれ込むことになった。
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今後の研究の推進方策 |
まずは前年度に実施予定であった調査を行い、先行研究で印欧語の習得において使用すると指摘されているインプット処理のストラテジーが、日本語の習得においても使用されているかどうかについて明らかにする。 日本語教育における処理指導の効果は、部分的であっても効果があると指摘されている研究が多いが、先行研究が自体が少なく今後さらなる検証が必要である。本研究では、ストラテジー使用の調査で得られた結果に基づき、処理指導で効果が期待できる項目を特定し、教材を作成する計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度に実施予定だった調査が今年度に延期となったため、前年度からの繰り越し分を用いて、調査を実施する予定である。海外でも1か所調査をする見込みが出てきたため、当初予定していた旅費の予算では足りないが、調査謝金を物価を考慮して当初の予定額よりも下げるつもりであるため、対応が可能である。 その他の使用に関しては、計画どおり執行予定である。
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