本研究では、会話の中で意見が対立した場面において参加者が行う様々な言語行動を「調整方略」ととらえ、日本人英語学習者が用いる調整方略について調査を行った。調査は、実際の対面会話を資料とし、談話分析の手法を用いて進めた。まず、学習者と母語話者の調整方略を検討し、学習者の調整方略の特徴をいくつか明らかにした。次に、学習者が英語圏に6週間滞在する前と滞在した後の2時点における調整方略を比較し、滞在後は母語話者により近いふるまいをするようになることを実証的に示した。これらの知見に基づき、母語話者と接触経験を重ね母語話者を模倣することによって、学習者の意見対立場面における調整方略の習得が進むと考察した。
|