研究課題/領域番号 |
23720287
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研究機関 | 下関市立大学 |
研究代表者 |
浅野 雅樹 下関市立大学, 経済学部, 准教授 (70514131)
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キーワード | 国際情報交換 / 中国語教育 / 中国語語彙 / 中国語教材 |
研究概要 |
これまでの研究成果を基に、本研究の最終的な目的である「語彙を中心とした中国語中級レベルテキストの作成」に向けて、実際に大学の授業で使用することを想定した一課分の試用版を作成した。作成過程では、テキストの構成要素である「単語」「本文」「ポイント(要点)」「練習問題」に対して、語彙学習や語彙指導を中心とした観点から、各々に対して、テキスト一課分の構成等も考慮に入れながら考察を行った。2013年7月に開催された日本中国語学会九州支部例会において、主に試用版の提示を内容とした研究発表を行ったが、様々な問題点を見出すことができた。 本年度の研究を進めるにあたり、学習者の語彙論知識(中国語の語彙体系に関する知識)の理解度と学習度を詳細に測る必要があることに気づいた。本研究では、テキストの「ポイント(要点)」の箇所に、語彙論知識を盛り込むことを提案しており、具体的にどのような語彙論的な事項が取り上げられるべきかということを検討してきた。しかしながら、その考察は数多くある語彙論における事項を語彙体系に応じ指導者の側から重要なものを選出したにすぎず、実際に大学における学習を経た学習者がどのくらいの知識を明示的あるいは暗示的学習を通して有しているのかという観点が不足していた。そこで、学習者である大学生の協力を得て、約30の質問事項と語彙の学習方法に関するアンケート調査表を作成した上で、実施した。その後、本アンケート調査の結果に関する分析と考察を行っているが、まだ中途段階である。 また本年度の研究成果とこれまでの中国語語彙教育の課題に関する考察の総括をした論文を本年度末に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は本研究の最終年度であったが、結果的に一年の研究期間延長申請を行った。その理由は、学習者の語彙論知識を測る必要性が生じ、そのアンケート作成と実施を本年度に急遽行ったためである。また、語彙を中心としたテキストの試用版を一定量作成し、それを教育現場で使用する予定であったが、一課分の試用版を作成するにとどまり、実施できなかった。また研究の過程で第二言語習得論や統計処理の方法についての知識や情報の収集に時間がかかってしまったことも一つの反省点としたい。
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今後の研究の推進方策 |
本年度末に25名の学習者に対して行った語彙論知識と語彙学習方法に関するアンケート調査結果の分析と考察を行った上で、学会発表または論文を執筆する予定である。また調査結果に基づき、第二言語習得論における理論を取り入れながら、テキストに盛り込む語彙論における事項を精査することを課題の一つとして研究を進める。また、主に大学の授業という教育現場で使用できる、一定量の語彙を中心としたテキストの試用版を作成し、その効果を見極めることを予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究状況により一年間の研究期間の延長申請をしたため。 学会参加のための旅費、書籍購入、印刷費等に研究費を使用する予定である。
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