研究課題/領域番号 |
23720288
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
西 香織 北九州市立大学, 外国語学部, 准教授 (70390367)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 第二言語習得 / 中間言語語用論 / 応答表現 |
研究概要 |
本研究は、学習者の真の意味での中国語コミュニケーション能力の育成を最終的な目標としており、中国語母語話者及び英語母語話者、日本語母語話者の各場面における応答表現を明らかにした上で、中国語学習者の応答ストラテジーを観察し、主として中間言語語用論の角度から、学習者が中国語を運用する際に、語用論的な負の転移を可能なかぎり減らすための提案を目的としている。平成23年度は主に中国、日本、アメリカの各大学において、中国語・日本語・英語における「感謝」と「わび」に対する応答ストラテジーの調査を中心に行った。1、先行文献の調査と整理 特に中国語について、「感謝」や「わび」に対してどのような応答ストラテジーを取るかについて、先行文献の調査を行い、整理した。2、中国語における応答ストラテジーの調査、分析 中国の大学において、中国語を母語とする大学生(大学院生を含む)を対象に、さまざまな場面を設定し、中国語では「感謝」や「わび」に対して実際にどのような応答ストラテジーが用いられているかを調査し、結果を分析した。3、日本語及び英語における応答ストラテジーの調査、分析 日本及びアメリカの大学において、それぞれ、日本語を母語とする大学生と英語を母語とする大学生を対象に、さまざまな場面を設定し、「感謝」や「わび」に対して日本語と英語ではどのような応答ストラテジーが用いられているかを調査した。4、中国語学習者の応答ストラテジーの調査、分析(語用論的転移の有無) 主に日本及びアメリカの大学で中国語を学習している者が中国語を運用する際に、「感謝」や「わび」に対して各場面でどのような応答ストラテジーを用いるかについて調査した。結果の出た部分については複数の学会で成果を報告している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度はアメリカと中国の大学において言語調査を行う計画を立てていたが、助成金の実質的な交付が遅れたことと関連して、調査を予定する時期に渡航できるか不明確であったこと、海外の大学の開講時期が違ったり、大学のシステムが日本と異なっているなどして、言語調査の実施が遅れ、スムーズに進まなかった部分があった。 平成23年度中に予定した言語調査自体はおおむね終了しているものの、一部、分析ができていない箇所が残った。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に行った「感謝」「わび」に対する応答表現の調査の分析が終わっていない部分もあるので、まずは全ての分析を終え、成果を発表する。その後、平成23年度で行った調査手順をもとに、平成24年度は「依頼」の場面における応答ストラテジーに重点を置き研究を進める。他人からの「依頼」に対して承諾の気持ちを表す場合のストラテジーについての言語調査と「依頼」に対して断りの気持ちを示す場合のストラテジーについての言語調査を中国、日本、アメリカ(または他の英語圏)の大学等で行う予定である。 平成25年度も同様に「ほめ」に対する応答ストラテジーの調査を行う予定であるが、これについては既に研究の基礎があるため、現在の研究の遅れは平成25年度に調整可能と考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究・分析の結果はすぐに国内外の学会等で発表し、フィードバックを得た上で修正を加えていきたいと考えているのと、アメリカ、中国等での言語調査を予定しているため、旅費が研究費の約7割を占める予定である。 その他は、データの入力や現地(アメリカや中国)の大学での調査協力者に対する謝金及び研究に必要な物品の購入に充てることを予定している。
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