平成25年度は三年間にわたる本研究の最終年度にあたり,総括的な研究発表を行った。平成23年度より行ってきた研究の中で,特に「わびに対する応答」について更なる分析を行い、昨年度の不足部分を補って国際学会において2回、口頭発表した。「依頼に対する応答」については、今年度、日本語を母語とする中国語学習者の中国語(および日本語母語話者の日本語)、(アメリカ)英語を母語とする中国語学習者の中国語(および英語母語話者の英語)、そして中国語母語話者の調査を行う予定であったが、時間等の制限により、英語母語話者に対する調査を実施することができず、中国語母語話者と日本語母語話者の語用論的対照研究を行い、国際学会において口頭発表を1回行うにとどまった。研究期間内には終えられなかったが、引き続き、英語母語話者の「依頼に対する応答」について調査を行い、中間言語語用論的観点からの考察を加え、論文として発表するつもりである。 三年間の研究期間を通じて、「感謝に対する応答」・「わび(謝罪)に対する応答」・「ほめに対する応答」、「(特に不本意な)依頼に対する応答」について、中国語母語話者の言語行動との比較を通して、日本語を母語とする中国語学習者と英語を母語とする中国語学習者に母語の語用論的転移が見られるかどうかを探る研究を行ったが、いずれの調査においても母語の転移は比較的明確に見られた。これらの結果は今後の中国語教育の発展に資するものと期待する。
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