研究課題/領域番号 |
23720296
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研究機関 | 名古屋学院大学 |
研究代表者 |
新多 了 名古屋学院大学, 外国語学部, 講師 (00445933)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | タスクを中心とした外国語教育 |
研究概要 |
本研究者はこれまで、日本人英語学習者の英語運用が、タスク前計画時間の有無によってどのように変化するかを調査し、より習熟度の高い学習者の方が計画時間を与えることでより高度な第2言語運用を示す可能性を指摘した。しかし、学習者レベルの測定方法の妥当性、モノローグ形式のタスクを使用した等の点で、結論は限定的であった。本研究では、それらの点を改善し、異なる習熟レベルの日本人英語学習者が対話形式のタスクを用いた際に計画時間の有無が与える影響について多角的に調査を行う。 これまでの第二言語習得論の研究成果から、コミュニケーション活動を中心に据えながら、文法・語彙等、言語の形式面にも注意を向け、バランスのとれた第2 言語の発達を目指す「タスクを中心とした言語活動」の有用性が確立している。中でも計画時間の有無がスピーキング運用力に与える効果については過去20年間に渡って様々な研究が行われてきた。これまでの多くの研究が実験室環境で行われてきたが、その結果が必ずしも教室内など実際の環境に転移しない点が指摘されている。例えば言語テスト環境で行われた研究では計画時間の影響が限定的であることが報告されている。 先行研究ではこれまで上級または中級レベルの学習者を調査対象としてきたが、本研究では英語圏への留学前と後の2回測定することにより、同一の被験者が異なる習熟度で計画時間の有無に対してどのような効果が見られるか検証する。またこれまで十分に行われこなかった対話形式のタスクを言語テスト環境で実施し、より実際の英語使用に近い状態での効果について調査する。 初年度である平成23年年度は、留学前の研究参加者32名の発話・内省データ(アンケート)の採取を行い、分析を行った。また分析結果を論文にまとめ国際誌に提出するため準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である平成23年度は以下の点について計画を立てた。(1)留学前(初級レベル)学習者の発話及び内省データ(アンケート)の採取と分析(2)研究経過の発表、論文の作成1点目について、すでにデータ採取を行い、書き起こし、分析を行った。2点目についてはすでに分析結果を論文にまとめ、最終確認段階であるため、おおむね当初の予定通りに進行していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24 年度研究計画として以下の2点が上げられる。(1)留学後(中級レベル)学習者の発話及び内省データの採取と分析(2)研究結果の発表、論文の作成同一学習者の留学後の発話データの採取、分析を行い、前年度採取した留学前データとの比較を行う。分析結果を国内学会、国際学会(英国応用言語学会年次大会を予定)において発表を行うと共に論文・報告書を完成させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度研究活動についての主な経費は、学術論文・図書の購入、専門の知識の供給、研究参加者への謝礼、データ処理等の研究補助費用、国内・国外学会発表のための旅費等が挙げられる。
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