研究課題/領域番号 |
23720297
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研究機関 | 京都精華大学 |
研究代表者 |
平井 愛 京都精華大学, 人文学部, 講師 (10554339)
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キーワード | 文理解 / 文処理 / 動詞下位範疇化情報 |
研究概要 |
■第二言語のメンタルレキシコンに保持されている統語情報 -時間計測を伴わない文法性判断課題■語の選定:日本人英語学習者の自由発話での語の特徴 本研究では,日本人英語学習者が統語情報や韻律情報をどのように利用し文を理解しているかを明らかにすることを最終目的としている。その調査過程で,語の下位範疇化特徴の中でも他動性に関する情報保持の有無と学習者の熟達度(特に初級者・中級者)別の特徴を,当該年度と前年度の調査により明らかにした。これらの結果は,第二言語理解および産出プロセスの解明のための心理言語学的実験を行う際の指標となるよう,今後,更なる学習者の語の理解度・産出傾向と熟達度の関係や母語話者の産出傾向との違いを明らかにする。 平成23年度には,日本人英語学習者の中でも初級者・初中級者に焦点をあて,熟達度の異なる第二言語学習者が目標言語である英語の動詞他動性情報をどの程度有していて,それをどの程度リアルタイムの文理解プロセスで利用できているかを検討した。具体的には,自動詞・他動詞を含む16の動詞に対する文産出傾向を調べるための文産出課題と,これらの他動性が異なる動詞を含むガーデンパス文を刺激とする自己ペース読み課題の二つの課題を実施した。 当該年度では,「時間計測を伴わない統語理解に関する文法性判断課題」(初級者・中級者・上級者を対象とした実験)の中でも初級者・中級者を対象とした実験を実施した。また,平成25年度の音声を伴う実験に向けての刺激語の選定のため,英語学習者の自由発話を採集し,語の産出傾向を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初,平成24年度実施予定であったのうちの「文産出課題」に関しては,平成23年度に調査済みである。平成23年度実施予定であった「時間計測を伴わない統語理解に関する文法性判断課題」(初級者・中級者・上級者を対象とした実験)は,調査手順上,本年度の実施を予定していたが,英語熟達度の高い学習者数が十分にそろわなかったため,初級者以外の熟達度の学習者を対象とした実験を引き続き平成25年度に実施することとなった。 また,平成24年度実施予定であった,文完成課題に関しても,特に上級者の実験参加者数が少なく,統計的処理が可能ではないため,引き続きデータ採取を実施している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は以下の2つの課題を実施予定である。 1) 前年度よりの継続調査:上級者を対象とした課題:「統語理解に関する文法性判断課題・時間計測を伴わないオフライン実験(文を読み,文法的に正しいかどうか判断してもらう課題)」「時間計測を伴う文法性判断課題」「文完成課題」 2) 中級者・上級者を対象とした課題:文聴取での韻律情報の利用を調査するために,韻律性判断課題を実施し,処理に要する時間を測定する。各グループ25名程度のデータを収集する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)コンピュータを使用した時間計測を伴うオンライン実験の参加者に謝礼として1000円を支払う予定である。 2)音声収録の協力者に対して謝礼20000円を支払う予定である。 3)研究成果発表のために旅費および宿泊費を計上している。具体的には,2014年1月のHICE(ハワイ国際教育学会),2014年3月AAAL(アメリカ応用言語学会)での発表を予定している。
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